さくらインターネットが国内発の生成AI向けプラットフォームサービスを発表しました。生成AIとクラウド基盤をつなぐ環境により、AIアプリケーションの開発がさらに容易になります。言語モデルとしては国産生成AIのCotomi(NEC)を利用することもでき、高い演算処理を備えた「高火力」とのタッグにより、国内完結のより充実したAI開発環境が提供されます。
生成AI開発プラットフォーム
さくらインターネットは、生成AIアプリケーションを効率的に開発するための新しいプラットフォームサービスの提供を開始します。
このプラットフォームでは、AIアプリケーションと基盤モデルをつなぐAPIが提供され、AIアプリケーションの開発がスムーズに行えます。また、RAG向けベクトルデータベースの提供もあり、データベースを検索し活用することで、LLM(大規模言語モデル)がより高品質な回答を生成できるようになります。
さらに、日本電気株式会社(NEC)が開発した国産生成AIモデル「Cotomi」が、このプラットフォームで選択可能です。国内完結型データ運用により、データの通信や保管が日本国内で完結するため、高いセキュリティを確保できます。基盤モデルについては、今後も国内外の企業と連携し、選択肢を拡大予定です。
さくらインターネットの「高火力」とは
「高火力」は、さくらインターネットが提供するAI開発のための演算環境です。サービスの特徴はこちらです。
再生可能エネルギー100%: 石狩データセンターを基盤に、CO2排出量ゼロを実現。
高性能GPUを搭載: 第1弾の「高火力 PHY」はNVIDIA H100 GPU 8基を搭載し、月額304万円で利用可能。
柔軟な料金体系: 第2弾の「高火力 DOK」はDockerコンテナ実行環境を提供し、NVIDIA V100またはH100 GPUを選択可能。1秒単位で課金され、利用状況に応じた柔軟な対応が可能です。
「高火力」は、2024年8月時点でNVIDIA H100 TensorコアGPU約2,000基を整備し、計算能力2.0EFLOPSを達成しています。今後は仮想マシン実行環境「高火力VM版」の提供が予定されており、時間単位の貸し出しも予定されています。
「さくら:生成AI開発プラットフォーム」について一言
いつもはアプリケーション(ユーザーが直接タッチするインターフェース)を多く扱いますが、今回は開発環境に関するニュースです。さくらインターネットはデータセンターを運営している企業です。ウェブサイトやドメインを取得する際に目にされる方もいらっしゃるかもしれませんが、さくらが用意した物理的なサーバー環境に対して、ユーザーはクラウド(インターネット)経由で接続していることになります。
さくらが今年初旬から提供している「高火力」も発想としては同じで、さくらが購入したNVIDIAのGPUなどの物理的な演算環境を、ユーザーはクラウド経由で接続し、AI開発ができるということです。
今回の生成AI開発プラットフォームはこの「高火力」を便利にしたもので、他のアプリケーションと連携できたり、RAG用データベースが構築できたり、よりAIに特化した環境になっています。
また、大企業においては何かと合言葉の「国内完結」を意識したサービス設計であることも重要です。NVIDIAなどすでに高いレベルで、グローバル対応な開発環境を整備している競合もいますが、今後の開発環境の競争も要注目です。
出所:さくらインターネット、生成AI向けプラットフォームサービスの開発を開始〜クラウド基盤からアプリケーションまで国内完結も可能に〜