文部科学省は6月11日、「科学技術・イノベーション白書」の2024年度版を公開しました。2024年度版は生成AIが特集されており、日本および海外の取り組み、社会的な影響、政府の方針が網羅的にまとめられており、生成AIの理解を大変助けるものなので一部抜粋してご紹介します。
構成
第一部では、AIについて基礎知識、日本における研究開発の取り組み、海外の研究開発動向、社会的な影響など生成AIを取り巻く外部環境について触れています。
それを受けて、第2部では日本の科学技術・イノベーション政策など、国としての取り組み、具体的な事例が紹介されています。
見どころ紹介
生成AIの全体観(第1部第1章:新時代を迎えたAI)
人工知能、ビッグデータの変遷や生成AI規模の推移など、基礎的な生成AIに関する情報が充実しており、全体観もあります。
世界のAI研究動向(第1部第3章:AI関連研究開発の世界の動向)
左軸が国別発表件数になります。想像通り、米国、中国がぶっちぎりですが、驚くべきは、追いかけていた中国が2020年に米国を追い抜いたことですね。日本はその他先進国の中で推移していた様子です。
ただし、2020年はまだ生成AIに関する動きが活発な時期ではないので、具体的には2022年以降の動きが重要です。
最近のニュースでは中国が米国OpenAIが開発する動画AI「Sora」と同等以上の動画生成AIを開発したことが話題になっていましたし、中国も注目の的であることは間違いないでしょう。
生成AIの需要見通し(第1部第5章:新時代を迎えたAIの社会へのインパクト)
全ての分野で増加するようです。業種ごとの伸び率はわかりませんが、最終的に大きなパイとなるのは「金融」「製造」「通信・放送」のようです。
2030年で世界で2,000億ドル。日本はどの程度なのでしょうか。大国の割合は大きいでしょうが、あとはインドやアフリカなどの新興国、人口の減少している先進国の産業モデル、どちらが生成AIによる恩恵を受けやすいのか、などによっても変わってくると思います。
ニュースについて一言
200ページ以上に及ぶ超大作なので、一部を抜粋しました。生成AIをビジネスに取り入れていくのであれば、ツールを使うことに加え、政府や研究領域の動向も押さえておくと大局的な判断ができると思います。
お時間があれば全体にも目を通してみると良いと思います(ChatGPTに要約してもらうという手段もありますが)。
出典:https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa202401/1421221_00020.html