Google、環境報告書を発行。2030年までにネットゼロ排出は実現可能か

Googleは2024年環境報告書を発表し、2030年までに全ての事業およびバリューチェーンでネットゼロ排出を達成するという目標に対する進捗状況を示しました。2019年基準でCO2排出量を50%削減する計画に対して、AI事業拡大により不確実性が高まっていることを伝えています。

目次

報告の概要

Googleの2024年の環境報告書を発行し、サステナビリティ領域における戦略、目標、進捗状況を詳しく説明しています。

2030年までに全ての事業およびバリューチェーンにおいてネットゼロ排出を達成するという目標を掲げているものの、AI向けデータセンターにより(電力影響)、道のりが非常に困難であることを伝えています。

Googleの設定したCO2削減目標

Googleは、2030年までに全ての事業およびバリューチェーンにおいてネットゼロ排出を達成するという目標を掲げています。

具体的には2019年を基準年として、2030年までにScope 1(自社排出)、Scope 2(自社電力排出)、およびScope 3(自社以外のサプライチェーン排出)の合計を50%削減することを指しています。

さらに、残りの排出量をカバーするため、持続可能なエネルギーおよび炭素除去ソリューションに投資する計画です。Science Based Targets initiative(SBTi)という国際的なイニシアチブにコミットし、CO2排出量削減の取り組みを進めています。

GA4はこれまで実績の可視化ツールとして活躍していました。今後数ヶ月で、予算を効率的に配分するための予算編成ツールをベータ版で導入し、進行中の広告活動の最適化を実現します。これにより、収益などの目標に対する予測パフォーマンスを記録するレポートが提供されます。

削減状況

2023年の総GHG排出量は1430万tで、前年同期比で13%増加し、2019年の基準年と比較して48%増加しました。これは主にデータセンターのエネルギー消費とサプライチェーンの排出量の増加によるものです。

Scope 1排出量は約79,400 tで、2022年比で13%削減されました。これは、建物の電化や輸送およびデータセンターの発電機使用による排出量の減少によるものです。

Scope 2の排出量は約340万tで、2022年比で37%増加しました。データセンターおよびオフィスの電力消費の増加が主要因です。

Scope 3排出量は約1,080万tで、2022年比で8%増加しました。これは、購入された商品およびサービスからの排出量、購入電力の上流排出量、データセンター建設に関連する排出量の増加によるものです。

GoogleのCO2排出量(青色の棒グラフ)

今後の見通し

2030年までにネットゼロ排出を達成することは非常に野心的な目標と見ています。

例えば、AIの拡大という事業環境の不確実性に対応する必要があります。また、CO2削減というGoogleに限らず多くの企業に普遍的に関係する課題に対しての抜本的かつ根本的な解決策は技術的に存在していません。そのためCO2排出量削減目標達成に向かう前に、一時的に増加のトレンドを迎えることが予想されます。

GoogleではAI時代のための世界トップクラスの効率的なインフラの構築を進めており、最先端のAI向け集積回路(第6世代Tensor Processing Unit, TPU)もその一つです。第5世代と比較して67%以上のエネルギー効率を持っています。

GoogleはAIを開発する事業としての責任を持ち、これらの施策でネットゼロ目標達成を目指していくとしています。

「Google環境報告書」について一言

生成AIは言語モデルやアプリケーションが身近ゆえに話題になりますが、ボトルネックはデータセンター、半導体チップであり、電力です。

2022年以前までは言語モデルがボトルネックになっており、AIとしての質がイマイチでしたが、言語モデルの質が向上し、ユーザーの裾野が一気に拡大したことで、供給に耐え得るインフラが不十分になると見られています。

出典:Google環境報告書2024(PDF)

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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