「Google for Japan 2024」:Google×日本の可能性を紹介

2024年6月19日に開催されたGoogleのAI有識者向けイベント「Google for Japan 2024」で、GoogleはAIを活用した新たな取り組みを発表しましたので、代表的な7つの事例をご紹介します。

目次

ニュースの要約

1、東京大学 松尾・岩澤研究室とのパートナーシップ

Googleは東京大学 松尾・岩澤研究室とパートナーシップを結び、2027年までに日本全国47都道府県における地域課題の解決をサポートする生成AIモデルの実装とAI人材の育成を支援する取り組みを発表しました。

現在、日本は高齢化社会や労働人口の減少などの社会課題に直面しており、AIをはじめとするテクノロジーがそうした課題解決の一助となると考えています。第一弾として、雇用のミスマッチ解消を目指した大阪府との取り組みを開始し、今後は広島県をはじめ各地での取り組みを進めてまいります。

2、大阪府における生成AI活用の取り組み

大阪府の生産年齢人口は1995年の642万人をピークに2030年には500万人を割り込む見込みであり、労働力確保のためにはシニア層の労働力の活用や、女性をはじめとした幅広い生産年齢人口の就業率を向上させることが急務となっています。

就業希望者に対してはAIを用いてキャリアパスの提案を行う一方、企業に対しては採用マーケティングに活用できる素材をAIで生成するなどの支援を行います。

3、Google検索の新しい日本向け機能

Googleは、新しいAIモデルMetNet-3をもとに、最大12時間先までの降水量予測が可能なナウキャストを導入します。このナウキャストは、株式会社ウェザーニューズとのパートナーシップを通じて開発されたもので、来月より順次表示予定です。

また、最新のトレンドや興味のあるトピックを深掘りできるよう、ハッシュタグをつけた検索機能も追加しました。Google検索画面からハッシュタグを付けて検索をすることで、ソーシャルメディアからタイムリーな話題を検索することが可能になります。

4、AI Essentialsの提供開始

Googleは、生成AIを活用して仕事の生産性を向上させたいと考える方々のために、「Google AI Essentials」という資格認定プログラムを提供開始しました。

このプログラムは、生成AIに関する事前知識が不要であり、さまざまなポジションや業種の方がAIスキルを習得できる内容となっています。AIの基礎知識から実際のビジネス応用までを10時間以内で学べるこのコースは、いつでもどこでも学習可能です。

5、健康・医療分野におけるAIの活用

Googleと公益財団法人がん研究会 有明病院(がん研有明病院)は、2021年11月に日本における乳がんの早期診断と疾病管理の発展のために、AIを活用した乳がん検診の研究に向けて共同研究を行ってきました。研究結果によれば、AIモデルを用いたスクリーニングシステムは乳がん検出の精度を7.6%向上させることがわかりました。

また、昨年10月には京都大学と共同で、高齢者の健康寿命を延伸することを目的としたモバイルデバイスとAIを活用した研究を開始し、高齢者の自立した生活を支援する取り組みを進めています。

6、日本におけるAIの可能性に向けた提言

AIの可能性を最大限に活用するためには、政府や企業、市民社会が一体となってAIの未来について幅広い議論を重ねる必要があります。Googleは、AIがもたらす可能性だけでなく、避けたい悪影響やリスクについても目を向けることが重要であると考えています。

Googleは、AI原則に基づき、大胆かつ責任あるAIへの取り組みを続けており、本日、「日本におけるAIの可能性に向けた提言」を公開しました。この提言では、イノベーションインフラストラクチャへの投資、AIを活用できる人材の育成、誰もがAIの恩恵を受けられる環境の整備の3つの主要提案が提示されています。

7、Cybersecurity Research Awardの開始

AIの急速な発展に伴い、その活用を安全に行うためのサイバーセキュリティの重要性が増しています。Googleは、2023年10月に日本をサイバーセキュリティ研究の拠点とし、政府や教育機関、産業界と連携して多岐にわたる取り組みを推進しています。

本日より、国内の大学および研究機関を対象とした研究支援プログラム「Cybersecurity Research Award」の募集を開始いたしました。このプログラムでは、情報セキュリティと暗号理論を主要テーマとし、医療分野を含む幅広い分野におけるセキュリティ研究への助成やGoogleの専門家による技術的なサポートを提供いたします。

「Google for Japan 2024」について一言

大規模言語モデル(Gemini)、インフラ(Google Cloud)を手がけるGoogleですが社会実装の部分もここまで手広くやっているとなると当然無視することはできず、どのようにGoogleの取り組みを味方につけることができるかという受け止め方になりますね。

乳がんの研究では実際に7.6%もの精度向上の実績が出ており、健康・医療分野における取り組みもとても意義深いですね。

リアルイベントであり、生成AI関連の研究者、有名な生成AI系のインフルエンサーも多く招待されていたとのことで、日本市場に対する期待と、ステイクホルダーの巻き込みの上手さを感じます。

出典:AI で日本のさらなる可能性を 〜 Google for Japan 2024 〜(Google Japan Blog)

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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