Googleは、デジタルコンテンツの出所と真正性(本物であるかどうか)を証明する技術標準を推進するC2PA (Coalition for Content Provenance and Authenticity) に運営委員会メンバーとして参加しています。同社は、今後数か月でGoogle 検索や広告といった自社サービスへの実装を開始し、デジタルエコシステム全体の信頼性向上に貢献することを明確にしています。
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C2PAについて
C2PAは、デジタルコンテンツの出所や編集履歴を証明するためのオープン技術標準の検討を推進する団体です。特に、オンライン上の誤情報や改ざんの抑制を目的として、コンテンツ認証情報を提供し、デジタルメディアの信頼性向上を目指しています。
C2PAの技術は、デジタルコンテンツに改ざん防止のメタデータを添付し(属性情報)、どのように作成(新規生成、既存アセットの複合)、編集(サイズ、色調)、構成(既存アセットから複合された場合のアセットの来歴)、変換情報(フォーマット)を明示するものです。
Google は、Adobe、BBC、Intel、Microsoft、Publicis Groupe、Sony、Truepic など他の運営委員会メンバーとともに、デジタル コンテンツの来歴に関する C2PA の技術標準の検討を推進してきました。
参考:Google to join C2PA to help increase transparency around digital content
Googleプロダクトへの実装
Google 検索において、C2PA メタデータが含まれた画像には画像情報を取得する機能が追加され、画像がAIツールで作成されたものかどうかをユーザーが確認できるようになります。この機能は、Google 画像検索やGoogle レンズ、Google Circle to Searchで利用可能となり、ユーザーがコンテンツの来歴情報を得る手段を提供します。
またGoogle広告にもC2PA メタデータを統合する計画を進めており、C2PAシグナルを使用して主要なポリシーの適用状態を確認することを目指しています。これにより、広告コンテンツの信頼性がより一層高まり、広告主やユーザーにとって透明性が確保されます。
YouTubeでもC2PA技術を活用し、コンテンツの出所を確認する機能を視聴者に提供することを検討しています。特に、カメラで撮影された動画や生成 AI によるコンテンツが含まれる場合、その来歴情報がユーザーに提示される仕組みを開発中であり、さらなる更新が予定されています。
今後、Googleはさらに多くの製品にC2PA技術を導入していく予定であり、他の企業との連携を通じて、オンライン全体でのコンテンツ透明性の向上を図っていくとしています。
「GoogleのC2PA対応」について一言
今回はビジュアルコンテンツの真贋を見抜く方法に関するものです。方法としては透かしやウォーターマークと呼ばれる技術を用いて、視認できないレベルで生成コンテンツを挿入する方法もありますが、今回はコンテンツ外の属性情報(メタデータ)として関連情報を付与するアプローチについてです。
ウォーターマークは技術的に難易度が高く、またコンテンツ品質に影響を与える可能性があります。一方で、メタデータはコンテンツ品質への影響はなく、ファイルサイズや更新情報など、異なる情報ではありつつも、これまでもメタデータ形式の運用はなされてきたので、技術的難易度は低めですが、削除されやすかったり、ファイル形式の変換時に情報が失われることがあります。長所短所を踏まえると、いずれのアプローチも併用されていくことになるような気がします。
出所:How we’re increasing transparency for gen AI content with the C2PA