AlphaEvolve:GoogleがLLMを用いてアルゴリズムを自動発見・最適化するプラットフォームを開発

alphaevolve

AlphaEvolveは、大規模言語モデル(Gemini)の創造力と自動評価機能を組み合わせ、進化的(「何度も改良を重ねる」という意味)なプロセスを通じて新しいアルゴリズムを自動生成し最適化する技術です。これにより、行列をかけ算する手順やデータセンターのスケジュール割り当て、深層学習モデルの計算効率など、従来はエンジニアが時間をかけて調整していた複雑な問題を高速かつ効率的に解決できるようになりました。

目次

AlphaEvolveとは

AlphaEvolveは、AIの力を活用して問題解決の“設計図”となるアルゴリズムを自動で発見し、改良し続ける革新的なプラットフォームです。まずGeminiと呼ばれる大規模言語モデルに「こういう手順を書いて」と問いかけ、その提案を自動評価機能がテストや性能指標で採点。点数の高いものだけを次世代に残して再生成するというサイクルを高速に回すことで、人間では見つけにくい優れた手順を次々に発見します。進化的とは「良いものを残し、さらに改良を重ねる」ことを指し、生物の進化に似たモデル探索の手法だとイメージするとわかりやすいでしょう。

alphaevolveの構成
AlphaEvolveの構成
alphaevolveの作業例
段階的な検証でアルゴリズムをブラッシュアップ

AlphaEvolveはすでにさまざまな領域で具体的な効果を示しています。例えば、4×4行列同士を掛け算する従来の手順(Strassen法)では49回の小さな計算が必要でしたが、AlphaEvolveはわずか48回に減らす新たな手順を自動で見つけました。乗算回数の削減がわずかに見えても、これを繰り返し適用することで大規模な計算全体で大きな時間短縮につながります。さらに、Googleのデータセンターで使われるタスク割り当てルール(Borgスケジューラ用ヒューリスティック)を自動生成し、全運用資源のおよそ0.7%に相当する計算力を常に回復できるようになりました。Transformerという技術の核となる「FlashAttention」と呼ばれる処理手順も最大32.5%高速化し、最新の未解決数学問題への挑戦では、試した50件のうちおよそ75%で従来の最先端手法を再現、20%ではさらに精度を向上させる成果を上げています。

「AlphaEvolve」について一言

話題となっているAIエージェントと異なる最大のポイントは、「タスクを自律的に実行する」ではなく「問題を解くための手順(アルゴリズム)」そのものを自動で発見・改良する点にあります。一般的なAIエージェントは、与えられた目的を達成するために最良の行動を選びますが、AlphaEvolveはその前段階として「最適な行動の設計図」を見つけ出す役割を担います。AIエージェントは結果が出てもプロセスや判断基準がブラックボックスになることがあります。科学分野のように信頼性・再現性、説明責任、継続的改善が必要な分野において、「問題を解くための手順」を明らかにする今回のようなAlphaEvolveが活躍することが期待されています。

出所:AlphaEvolve: A Gemini-powered coding agent for designing advanced algorithms

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

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