バイドゥは「Baidu Create 2025」において、推論能力を大幅に強化した新モデル「ERNIE X1 Turbo」「ERNIE 4.5 Turbo」と、複雑なタスクをマルチエージェントで解決するアプリケーション「Xinxiang」を発表しました。推論モデルではDeepSeekを上回る性能とコスト競争力を打ち出し、エージェントアプリでは単一の指示から複雑な作業を完了させる仕組みを披露するなど、中国勢によるAI領域の進化が加速していることを印象付けました。
推論モデル「ERNIE X1 Turbo」「ERNIE 4.5 Turbo」
バイドゥは、これまでのERNIE X1や4.5をアップデートし、「ERNIE X1 Turbo」「ERNIE 4.5 Turbo」を発表しました。特徴は「マルチモーダル性」「推論能力」「低コスト」の三種類です。特に推論能力においては、チェーン・オブ・ソートの技術を強化し、文字生成や論理パズルの解答力を大幅に向上させました。さらに画像理解能力も強化され、マルチモーダルな入力・出力に対応できるのが大きな特徴です。DeepSeek R1やV3の最新バージョンを上回る性能を課算している点も大きなポイントです。



コストパフォーマンスも大きな魅力です。ERNIE X1 Turboの場合、入力100万トークンあたり$0.14、出力が$0.55と設定され、DeepSeek R1の約△25%に減額されています。
個人ユーザーはバイドゥのAIチャットサービス「ERNIE Bot(文心一言)」を通じて無料でERNIE 4.5を利用できます。登録するだけで、テキストのみならず、画像や音声を含む多様なマルチモーダル機能を体験できるのが特徴です。
エージェントアプリ「Xinxiang(心想)」
Xinxiangは、単純なQ&A機能を超え、複雑なタスクを完結まで自己継続的に実行する「エージェント」として発表されました。ユーザーが一度プロンプトを入力するだけで、メインエージェントが持つ「タスク課題計画」「分担」「進捗管理」機能を駆使しながら、複数の専門エージェントを組み合わせ、最終的に結果物を導き出してくれます。現時点ではAndroid搭載スマートフォン向けに提供されており、iOS版は今後検討される予定です。
例えば、医療分野では問診データをもとに診断補助を行い、必要な検査の提案まで一連で完了させることが可能です。法律分野では、契約書作成やリスクアセスメントを複数エージェントが役割分担して作業することで、専門家レベルのドラフトを迅速に作成できます。また、企業向けにはマーケットリサーチからレポート作成までを一気通貫でこなすなど、幅広いユースケースが期待されています。


「バイドゥの推論モデル、エージェントアプリ」について一言
今回の発表からは、AI開発競争が「低コスト&高性能」と「マルチエージェントによる複雑な問題解決能力」という転換期を迎えていることが感じ取れます。バイドゥは、単なる大規模言語言語モデルのデモンストレートを終え、「現場への実装を要求されるフェーズ」へと歩みを進めている印象です。
ユーザーとしての見方も重要です。中国勢においては、モデル開発ではバイドゥ、アリババ、テンセント、DeepSeek、アプリケーション開発ではManusやGenSparkなどが有力プレイヤーとして頭一つ抜けようとしています。特にモデル開発では、今回発表されたErnie 4.5がDeepSeekの性能を低コストで上回る結果となり、もちろん安全性への配慮も必要ですが、中国勢のモデルも一度は触れておくべきかと思っています。
出所:Introducing ERNIE X1 Turbo & ERNIE 4.5 Turbo!、At #BaiduCreate2025, we officially unveiled Xinxiang, a general super agent.
生成AIコンサルティング
全社に広くAIを普及させたい方。AI活用の構想策定、要件定義、ChatGPTなどAIツールの活用法をレクチャー。

AIアプリケーション開発
AIによる効果を深く享受したい方。AIワークフロー開発ツールDify、RAG、LLMを用いてAIアプリケーションを開発。
