GoogleがマルチAIエージェントの「共通言語」を公開:エージェントが働く未来が実現!?

a2aプロトコル

Googleは、異なるAIエージェント同士が円滑に連携できる新たなオープンプロトコル「Agent2Agent(A2A)」を発表しました。このプロトコルは企業内の様々なエージェントがベンダーやプラットフォームの枠を超えて協調を可能にするルールであり、業務効率化と新しいイノベーションを促進すると期待されています。広くコミュニティの参加を呼び掛けており、2025年後半には実用版のプロトコルをリリース予定です。

目次

A2Aプロトコルとは

AIエージェントは、特定の業務を自動化したり、複雑なタスクを支援したりするAIシステムです。例えば顧客サポートやサプライチェーン管理など、多岐にわたる場面で活用が進んでいます。しかし、これまでは異なる企業やシステム間の連携が難しく、複数ベンダーのエージェントを同時に使う場合の効率低下や情報の分断が問題となっていました。そこで求められたのが、エージェント間の相互運用性です。

Agent2Agent(A2A)は、Googleが主導し、AtlassianやSalesforce、SAPなど50以上の企業と協力して作られたオープンプロトコルです。A2Aには以下の5つの原則があります。

  • エージェントの能力活用:記憶やツールが異なっていても協力可能に。
  • 既存標準を活用:HTTPやJSON-RPCなど既存の標準を基盤に構築。
  • 高度なセキュリティ:エンタープライズレベルの認証・認可を提供。
  • 長時間タスク対応:短時間から長時間タスクまで幅広く対応。
  • モダリティ非依存:テキストだけでなく音声や動画など多様なデータ形式に対応。

A2Aはまた、Anthropicが提唱するModel Context Protocol(MCP)とも補完的な関係にあり、マルチエージェントシステムの普及をさらに推進します。

具体的な事例としては人材採用プロセスが挙げられています。採用担当者が勤務地やスキルなどの条件を設定すると、複数の専門エージェントが連携して迅速に候補者を提案します。さらに面接の日程調整やバックグラウンドチェックも自動化でき、採用業務の効率が大幅に向上します。この他にもカスタマーサポートや在庫管理など、多様な分野での導入が期待されます。

GoogleはA2Aをオープンソース化し、広くコミュニティの参加を呼び掛けています。2025年後半には実用版のプロトコルをリリース予定で、多くの企業が実務レベルでの導入を進める見込みです。

A2Aプロトコルの仕組み

a2a function

A2Aプロトコルでは、主に「クライアントエージェント」と「リモートエージェント」という2種類のエージェントが連携します。クライアントエージェントはユーザーや他システムからのリクエストを受け取り、それを処理可能な最適なリモートエージェントを見つけ出し、タスクを伝達します。リモートエージェントはこれらのタスクを実際に実行し、結果を提供します。

具体的には、エージェント同士が自身の能力や提供可能な機能を「Agent Card」という標準化されたJSON形式の情報で公開します。クライアントエージェントはこの情報を活用して最適なパートナーエージェントを迅速に特定します。

また、A2Aでは、実行されたタスクの成果物を「アーティファクト」として管理します。アーティファクトには、テキストデータだけでなく、音声や画像、動画、さらには複雑なフォームデータなども含めることが可能であり、多様な業務シナリオに柔軟に対応できます。

さらにA2Aプロトコルでは、エージェント間のやり取りやユーザーへの通知をリアルタイムで行うことが可能です。これにより短時間で完了するタスクだけでなく、数日間にわたる詳細な調査や、ユーザーが介在する複雑な業務プロセスにも対応できる仕組みを整えています。

「A2Aプロトコル」について一言

夢物語であったマルチエージェントですが、統一規格が定義されつつあるということでついに実現する未来が見えてきました。労働者としての人間にとっては本当に激動の数年になると思います。

一方でビジネスサイドでは、SaaS業界への影響も大きいと見られます。マルチエージェント環境が一般的になると、統一されたインターフェースが主流になり、個別のSaaSのUIはバックグラウンドへと退くでしょう。具体的には、ユーザーが利用するインターフェースはGoogleのAgentspaceやMicrosoftのCopilotのような共通プラットフォームに統合され、個別のSaaSサービスはバックエンドとして機能を提供する立場になります。

この変化に伴い、今後のSaaS企業はUIや顧客体験を提供することよりも、高度なAPI、業務特化型のエージェント提供、精度の高いデータ分析、リアルタイム処理能力などの機能面に注力する必要があります。また、セキュリティ対策やコンプライアンス対応力も重要な差別化要素となります。

出所:Agent2Agent プロトコル(A2A)を発表:エージェントの相互運用性の新時代

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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