予約の電話をかけたり、複雑な旅行計画を立てたり、動画制作までもAIが代行する時代がやってきました。Baiduの元幹部が立ち上げ、Googleへの挑戦を宣言する注目企業「Genspark」が発表した汎用AIエージェント「Super Agent」は、単なる効率化ツールを超えた日常の新しいパートナーとしての可能性を秘めています。旅行プランニングや予約管理、動画制作までをリアルタイムかつ人間らしく処理することができます。
Gensparkとは
Gensparkは、Baidu(百度)の元幹部エリック・ジン氏が2023年以降に設立した企業で、カリフォルニア州パロアルトに本社を構え、シンガポールにも拠点を持っています。2024年には6000万ドルという大規模なシード資金を調達し、企業評価額はわずか設立から1年ほどで2億6000万ドルに達しました。同社はAI技術を用いた検索エンジン「Genspark」を主力としており、ユーザーが入力した質問に基づき、リアルタイムでカスタマイズされた情報ページ(Sparkpages)を生成できることが特徴です。
Super Agentとは
今回発表された「Super Agent」は、日常のあらゆる課題や作業を代行することを目指した高速で信頼性の高いAIエージェントです。一般のユーザーから専門的な職業まで幅広く活用できる汎用性を持ち、日常生活における具体的な利用シーンをAIがサポートします。
この高度な汎用AIエージェントを支えるのは、大規模言語モデル(LLM)、多彩な機能をもつツールセット、そして独自の豊富なデータセットという3つの要素です。これらを統合することで、高い精度と迅速な処理速度、そしてユーザーの要望に対する柔軟な対応を実現しています。

最新のGAIAベンチマーク結果によれば、Gensparkの「Super Agent」は、競合するmanus.aiやOpenAI Deep Research、また従来の最高性能(SOTA)を明確に上回る性能を示しました。特にレベル1では87.8%、レベル2では72.7%、最も複雑なレベル3では58.8%のスコアを記録しており、他のAIモデルに比べて一貫して優れたパフォーマンスを発揮しています。これらの数値は、Super Agentが実際の利用シーンにおいても高い信頼性と効率性を発揮できることを示しています。

使い方ですが、旅行計画では交通手段や目的地間の距離を即座に計算して、ユーザーの希望に沿った最適な日程を数分で作成します。また、「Call for me」という機能では、AIが人間らしい自然な声でレストランへの予約電話を代行。アレルギーや座席の希望まで細かく伝えることができます。さらに料理のレシピ調査や動画作成ツール、音声生成技術を組み合わせ、初心者でも簡単に動画を制作できます。ニュースをもとにしたアニメ風の動画を完全自動で作成することも可能です。またSuper Agentはマーケターがインフルエンサーを探してキャンペーンを立案したり、教師が複雑な数学の概念を3Dで視覚化したり、採用担当者が候補者を比較分析するなど、幅広い分野での利用が想定されています。動画制作や詳細なデータ分析など、AIがクリエイティブな分野にも積極的に活用される未来が見えてきました。
「Super Agent」について一言
AIエージェントのインフレが起きています。3月初旬にはManusが発表されましたが、今回発表されたSuper AgentはManusの競合になります。推論モデルとツール連携に関する技術開発が急ピッチで進んでいるため汎用エージェントの開発ハードルはかなり下がっているのかもしれません。ManusとGenSparkを比較するとGenSparkの方がスピードも精度も高いように感じます。プレゼン資料を作成してもらいましたが、Gensparkではこのままアウトプットになりそうな仕上がりでした。

またGensparkの場合はAI電話まで接続されていることで、レストランの電話予約まで一気通貫でできることに驚きました。いずれも足りない部分としてはやはり内部情報との連携が課題になるかと思います。セキュリティの観点も踏まえ、内部情報をうまく活用するユースケースが実現すれば真の意味でエージェント本格化ということになると思います。
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