生成AIの急速な進化により徐々に顕在化しつつある著作権問題について法的な対処を求める動きが出ています。著作権者が無断利用された著作物の権利を守るために訴訟を起こし、その費用をクラウドファンディングで募っています。訴訟費用を目的とした667万円の目標金額に対し、9/4時点で104%の支援金額に達しています。
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生成AI被害に関するクラファンの背景
2023年10月14日、著作権者がXで公開した報告によれば、画像生成AIによる無断利用が発覚し、示談交渉が決裂したため、訴訟に踏み切ることとなりました。著作権者は2023年5月にアカウントを発見し、その後代理人弁護士を通じてアカウント削除を要求しましたが、対応がなかったため告発に至りました。相手側からの謝罪の意向は示されたものの、最終的には、自らの行為に問題がないとの見解を示したため、法的議論の必要性を感じて提訴に至った次第です。
訴訟の目的は、生成AIによる著作物の無断利用に関する現行法での適切な司法判断を引き出すことです。著作権者は、自らが創作したキャラクターや著作物が無断で生成AIに利用されることを許すことはできず、クリエーターの権利が軽視される状況を憂慮しています。訴訟を通じて、生成AIの利用に関する法的な明確化と、クリエーターの権利保護を訴えています。
生成AI被害に関するクラファンの調達状況
これまでに200万円以上の費用と1年以上の時間を費やしており、今後訴訟を続けるには更なる費用が必要となります。経済的にも精神的にも大きな負担が続いており、多くの方々の支えのもと訴訟を継続するための支援をお願いしています。
現在クリエイター支援サイトであるCi-enにて、生成AIによる被害を受けた著作権者が、訴訟費用を募るクラウドファンディングを実施しています。目標金額667万円に対して、現在のリターン支援総額は6,954,614円(104%)に達し、支援者数は1,381人までに至っています。
「生成AI被害に関するクラファン」について一言
AIと著作権というテーマでは文化庁が「AIと著作権:文化庁が新たなチェックリスト&ガイドラインを発表」をまとめています。文化庁、内閣府、総務省が昨年からそれぞれ検討してきたAIと著作権のあり方についてわかりやすくまとめたものです。詳しくは下記の記事でも紹介しているのでご参照ください。
このガイドラインでも、既存の著作物をインプットにした画像生成(いわゆるimage to image)について触れられていますが、「入力した既存の著作物と類似する生成物を生成させることを目的とした場合(いわゆる非享受目的)」では著作権法違反に該当する可能性が示唆されています。
とはいえ非享受目的かいなかを判断することは極めて難しいため、今回のクラファンの著作者は使用したデータセット(インプットした既存著作物)を開示することを義務化することも提案しています。生成AIの分野では法整備が途上で、判例はまだ出ていないと思うので、引き続き見ていく必要がありそうです。