生成AIの活用状況調査—日本企業の生成AI活用率は17.3%

生成AIの活用状況調査

帝国データバンクが実施した生成AIの活用状況調査によると、日本企業の約17.3%が生成AIを活用しており、その多くが一定の効果を実感しています。しかし、導入企業の半数以上が人材やノウハウの不足を懸念しており、リスク対応や推進体制にも課題が残っています。

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目次

生成AIの活用状況調査の概要

帝国データバンクは生成AIの活用状況についての調査を行いました。調査期間は2024年6月14日から7月5日まで、有効回答企業数は4,705社に上ります。この調査は、企業が生成AIをどのように活用しているか、また、その課題や懸念点について明らかにすることを目的としています。調査のサマリーは次の通りです。

  • 企業の17.3%が生成AIを活用しており、うち9割近くの企業が一定の効果を実感。
  • 活用用途のトップは「情報収集」で、59.9%を占めています。
  • 生成AIの推進体制について、企業の半数以上が内製化しているが、従業員数が多い企業ほどその割合は低下。
  • 生成AI活用に対する理解には、『経営者』と『一般社員』の間に大きなギャップがある。
  • 指針やガイドライン策定状況では、5割以上の企業が「策定に前向き」。
  • 懸念や課題としては、「AI運用の人材・ノウハウ不足」が54.1%で最も多い。

生成AIの活用状況調査の詳細分析

まずは活用状況ですが、全体で17.3%。業態別ではサービス業が最も活用されており、建設・不動産業が低い活用度合いです。従業員数、売上高で見ると、最も大きいセグメントで普及しているものの、中規模のセグメント(従業員50〜1,000人、売上高1〜100億円)の活用度合いは低いです。

活用状況
活用状況

リスク対応については、「策定に前向き」と答えた層は半分程度ですが、およそ45%の企業では特に対応部門を定めていない状況です。

リスク対応
リスク対応

推進体制としては、内製企業が多くを占めますが、レポート文中の情報では大手企業になるほど外注比率が向上するそうです。また、課題としては人材・ノウハウ、情報の正確性、活用すべき業務が不明確といった一般的な項目が並びます。

推進体制
推進体制

「生成AIの活用状況調査」について一言

生成AIの活用率については、総務省:9.1%、Pwc:43%、BCG:52%と調査を実施する組織により開きがありますが、今回の帝国データバンクの調査結果はセグメントごとの数値が見られるため、非常に参考になります。クラシックなオーナー企業などの中堅企業での活用率が低く、大手・小規模企業(スタートアップ含む)の活用度合いが高いことは感覚的に理解可能ですし、その上でならすと17%と言われるとそんな感じもします。

気になるのはリスク対応を決めている組織が45%程度であるという情報です。生成AIは外部からの攻撃だけでなく、内部による不正利用のリスクも孕むため、新たなリスクにどのように対応するかについては、対応部門を明らかにする必要があると考えます。生成AIの普及は時間をかけて進むものなので、引き続き関心を持ってこうした統計データを注視していくことが重要です。

出所:生成AIの活用状況調査

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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