2024年11月15日、Xは利用規約およびプライバシーポリシーの一部を改訂しました。Xの本社がカリフォルニア州からテキサス州に移転したことによる体裁の変更などもいくつか含みますが、XはGrokという生成AIモデルを開発・提供しており、Xの投稿が学習データとして利用されており、投稿データの取り扱い、免責事項について明示されたことが大きなアップデートとなります。主要な条文を参照する範囲では、投稿データは学習データとして扱われることとなっており、クリエイターを中心としたXの位置付けに議論が生じることが想定されます。
原文:データ利用
3.本サービス上のコンテンツ
ユーザーの権利およびコンテンツに対する権利の許諾
ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介して、自ら送信、投稿、または表示するあらゆるコンテンツに対する権利を留保するものとします。ユーザーのコンテンツはユーザーのものです。すなわち、ユーザーのコンテンツ(他のコンテンツに組み込まれたユーザーの音声、写真および動画もユーザーのコンテンツの一部と考えられます)の所有権はユーザーにあります。
サービス上でまたはサービスを通じてコンテンツを送信、ポスト、または表示することにより、お客様は、現在知られているまたは今後開発されるあらゆるメディアまたは配信方法で、あらゆる目的で、かかるコンテンツを使用、コピー、複製、処理、適応、変更、公開、送信、表示、アップロード、ダウンロード、および配信するための、世界的、非独占的、ロイヤリティフリーのライセンス(再許諾の権利を含む)を当社に付与するものとします。明確にするために記すと、これらの権利には、たとえば、キュレーション、変換、翻訳などが含まれます。このライセンスによって、ユーザーは、当社や他のユーザーに対し、ご自身のポストを世界中で閲覧可能とすることを承認することになります。お客様は、このライセンスに、当社が(i)お客様によって提供されたテキストやその他の情報を分析し、その他の方法で本サービスを提供、促進、改善する権利(生成型か他のタイプかを問わず、当社の機械学習や人工知能モデルへの使用やトレーニングなど)、および(ii)当社のコンテンツ利用規約に従い、サービスにまたはサービスを通じて送信されたコンテンツを他の企業、組織、または個人が利用できるようにする権利(サービスの改善、および他のメディアやサービスでのコンテンツのシンジケーション、放送、配信、リポスト、プロモーション、公開など)が含まれることに同意するものとします。ユーザーが本サービスを介して送信、投稿、伝送またはそれ以外で閲覧可能としたコンテンツに関して、当社、またはその他の企業、組織もしくは個人は、ユーザーに報酬を支払うことなく(ユーザーは、ユーザーによる本サービスの利用がコンテンツおよびコンテンツに関する権利の許諾に対する十分な対価であることに同意するものとします)、当該コンテンツを上記のように追加的に使用します。
当社では、エコシステムパートナーが本サービス上のユーザーのコンテンツを使用する方法について、発展的なルールを用意しています。これらのルールは、ユーザーの権利を念頭に置いた上で、オープンなエコシステムを構築するために存在しています。ユーザーは、当社ならびに当社のパートナーがユーザーのコンテンツを配信、配給、公表、または放送する際にコンテンツが修正または変更される可能性があること、および/またはコンテンツを異なるメディアに適合させるためにコンテンツに変更を加える可能性があることを理解しているものとします。
ユーザーは、ご自身が本サービス上でまたは本サービスを通じて送信、投稿または表示するコンテンツに関して、本規約で付与される権利を許諾するために必要な、すべての権利、ライセンス、同意、許可、権能および/または権限を有していることまたは得ていることを表明し保証するものとします。ユーザーは、ご自身が必要な許可を得ているまたはその他の理由により素材を投稿し当社に上記のライセンスを許諾することができる法的権限を有している場合を除き、当該コンテンツが著作権その他の財産権の対象となる素材を含むものではないことに同意するものとします。
出所:Xの利用規約
2.情報の利用方法
2.1 当社のサービスの運営、改善およびパーソナライズ
当社は、Xのプロダクトおよびサービスを提供し、運営するために収集した情報を利用します。また、当社は、より関連性のあるコンテンツおよび広告をユーザーに表示したり、フォローすべき人およびトピックを提案したり、ユーザーが関連会社、第三者アプリ、サービスを発見する手助けをすることを可能にしたりするなど、ユーザーがXでより良い経験をすることができるよう当社のプロダクトおよびサービスを改善およびパーソナライズするために当社が収集した情報を利用します。当社はまた、本ポリシーで概説されている目的のため、当社が収集した情報や一般公開された情報を、機械学習または人工知能モデルのトレーニングに使用することがあります。
出所:Xのプライバシーポリシー
3.情報の共有
第三者の協力会社: お客様の設定に応じて、またはお客様がデータを共有している場合、当社はお客様の情報を第三者と共有したり、第三者に開示したりすることがあります。オプトアウトしない場合、情報の受信者は、Xのプライバシーポリシーに記載されている目的に加えて、たとえば、生成型か他のタイプかを問わず、人工知能モデルのトレーニングなど、独自の独立した目的のために情報を使用する場合があります。
出所:Xのプライバシーポリシー
原文:免責事項
5.免責事項および責任の制限
責任の制限
本規約の別段の定めにかかわらず、Xエンティティは、適用法令の下で許容される最大限の範囲において、(i)本サービスへのアクセスもしくはその利用または当該アクセスもしくは利用ができないこと、(ii)本サービスにおける第三者の行為またはコンテンツ(他のユーザーまたは第三者による名誉毀損、侮辱または違法行為を含みますがこれらに限りません)、(iii)本サービスにより得られるコンテンツ、または(iv)ユーザーの通信もしくはコンテンツに対する不正アクセス、不正利用もしくは改変に起因する、いかなる間接損害、付随損害、特別損害、結果損害もしくは懲罰的損害、逸失利益もしくは逸失収益(直接的に発生したか間接的に発生したかを問いません)、データ、利用状況、営業権の損失その他の無形損害についても責任を負いません。いかなる場合においても、Xエンティティの責任は、総額で、100.00米ドルまたはユーザーが過去6か月間に請求の原因となったサービスに対して当社に支払った金額のいずれか大きい金額を超えることはないものとします。本項で定める責任の制限は、責任の原因が保証に起因するか、契約によるか、法定であるか、不法行為(過失を含む)によるか、その他の原因によるかを問わず、またXエンティティが損害発生の可能性について知らされていたか否かを問わず、本規約に定める救済手段がその本来の目的を果たせないことが判明した場合にも適用されるものとします。
本規約に同意するか、本サービスを利用することにより、適用法で認められる最大限の範囲で、お客様は、本サービスにおけるユーザーおよび第三者の行為または行動、またはユーザーおよび第三者が本サービスで共有する不快、中傷的、違法、またはその他の不快なコンテンツを含むコンテンツについて、X事業体がお客様または他者に対して責任を負わないことに同意するものとします。
出所:Xの利用規約
「Xの規約変更」について一言
まず事実からですが、条文を見る限り投稿データは学習データとなりそうです。またオプトアウト(学習データとされない設定)についての記述があるものの、オプトアウト機能はまだ確認されていないので実運用は明確になっていません。さらに、Xの性質上当然と言えば当然かもしれませんが、投稿データによる(生成物含む)トラブルも責任の範囲外であることが明示されました。
規約変更については10月中からドラフトが開示されており、上述の内容を受けて、クリエイターの方々が投稿を止める検討をしたり、制作物の方向性について再考する動きが出ているようです。Xの現状はバズりを生むためのある意味「作られた」世界のように感じます。その意味で言えば、学習を恐れて制作物の投稿が減ることで、よりリアルな投稿や生の声がシェアを広げていく可能性もあります。
データ活用については、プライバシーも関わるセンシティブな部分も含むので善悪で捉えがちですが、Xはそうした生の声を発する場所、それが再生産されるサービスであると割り切る、という考え方もあるかもと思い、あくまでも個人の所感ですが書いてみました。