画像生成AIとは、テキストや参考画像をもとに人工知能が新たな画像を生成する技術です。近年、AI技術の進化により高精度な画像を簡単に作成できるようになりました。プロンプトと呼ばれるテキストを入力するだけで、リアルな風景やアニメ風のイラスト、3Dモデルなど、多彩なスタイルの画像を短時間で生成できます。
近年は多くの画像生成AIツールが登場し、それぞれ異なる特徴を持っています。オープンソースでカスタマイズ可能なもの、特定のスタイルに特化したもの、商用利用に向いたものなど、用途に応じた選択が可能です。技術の進化に伴い、より精度が高く、多機能な画像生成AIが登場し続けています。
画像生成AIとは
画像生成AIとは、AIが画像データを生成する技術の1つであり、膨大なデータを学習してユーザーの指定に基づいた画像を作り出す仕組みです。プロンプトと呼ばれるテキスト入力や参考画像を用いることで、希望する画像を生成できます。生成される画像の種類は実写、アニメ、3Dモデルなど多岐にわたるため、画像生成AIを活用することで専門的なスキルがなくても高品質な画像を簡単に作成することができます。
画像生成AIの仕組み
生成AIは機械学習の一種である深層学習(ディープラーニング)を用いて学習を行い、膨大なデータを取り込むことで生成物の精度を高める仕組みです。
深層学習には教師あり学習と教師なし学習があり、画像生成AIの生成物には違いが生じます。教師あり学習では、キーワードとともに多数の画像を学習し、特徴を捉えた高精度な画像を生成します。一方、教師なし学習では大量の画像データのみを学習し、AIが特徴やパターンを抽出する方式です。教師あり学習よりも独創的な画像が生成されやすい特徴があります。
VAE(変分オートエンコーダ)
VAE(変分オートエンコーダ)は教師データを利用せず、学習データの特徴を捉えたデータを生成する深層学習モデルの1つです。元の画像データの特徴を学習し、類似した画像を生成します。
VAEはデータを圧縮し、再び元のデータに近い形で復元するだけでなく、データの生成過程も学習することで新しいデータの生成が可能となります。画像や音声などの複雑なデータの理解と生成に広く応用され、AI分野において重要な技術とされています。
GAN(敵対的生成ネットワーク)
GAN(敵対的生成ネットワーク)は2種類のニューラルネットワークを競わせながらデータを学習する手法です。Generator(生成モデル)とDiscriminator(識別モデル)という2つのネットワークで構成されており、Generatorは偽物のデータを作り出し、Discriminatorは本物と偽物を見分ける役割を持ちます。互いに競い合うことで、よりリアルなデータが生成される仕組みです。
DALL-E
DALL-Eはテキストをもとに画像を生成するAIツールです。2021年にOpenAIが発表し、2022年には「DALL-E2」、その後継として「DALL-E3」が登場しました。自然言語処理技術を活用してテキストから画像を生成します。
StyleGAN/StyleGAN2
StyleGANはGANから派生した画像生成モデルであり、StyleGAN2はその改良版です。従来の技術と比べ、高精度な画像が生成可能であり、画像の品質も大幅に向上しています。
Pix2Pix
Pix2Pixは2枚のペア画像をもとに画像間の関係を学習し、それを反映した新しい画像を生成するモデルです。GANをベースに開発され、2017年の「CVPR 2017」で発表されました。
Pix2Pixは例えば白黒のスケッチに適切な色を付与するなど、入力画像をもとに新たな画像を生成する技術を持っています。GANを活用し、本物に近い画像を作り出せる点が特徴です。
TransGAN
TransGANは従来の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使用せず、Transformerベースの構造のみで画像を生成するモデルです。自然言語処理に強みを持つTransformer技術を活用し、従来のCNNベースの生成モデルとは異なるアプローチを取っています。
画像生成AIツール15選
Stable Diffusion
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Stable Diffusionは入力されたテキストやアップロードされた画像をもとに、高精度な画像を生成できるAIです。オープンソースの特性を活かし、Web上で無料で利用できるほか、ローカル環境での実行も可能で、特定のライセンスのもとで商用・非商用を問わず利用できます。日本語向けの「Japanese Stable Diffusion XL」も提供されており、多言語対応の進化も見られます。高いカスタマイズ性と柔軟な利用環境により、幅広いニーズに対応できるのが特徴です。
参考:https://ja.stability.ai/stable-diffusion
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Midjourney
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Midjourneyはテキストを入力するだけで、人物やキャラクター、風景、アートなど多様な画像を自動生成できるAIです。プロンプトを工夫することで構図や色調、質感などを細かく調整し、希望するスタイルの画像を作成できます。特にアートや創作分野で活用されることが多く、独自の表現を追求しやすいのが特徴です。
チャットツールと連携して利用でき、特にDiscordを通じた操作が主流となっています。Stable Diffusionと並ぶ画像生成AIの代表的な存在であり、手軽に高品質なビジュアルを作成できる点が支持されています。
参考:https://www.midjourney.com/home
DALL-E 3
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DALL-E 3はOpenAIが開発した高度な画像生成AIで、テキストの文脈を理解し、細かいニュアンスまで反映した画像を作成できるのが特徴です。ChatGPTと連携することで自然な会話を通じて希望のビジュアルを生成でき、プロンプトの記述に不慣れな初心者でも直感的に利用できます。
DALL-E 3は単なるキーワード入力だけでなく、詳細な指示や背景情報を加えることで、より精度の高い画像を出力します。特に、会話形式でプロンプトを調整しながら最適な画像を作成できる点が強みです。ChatGPTの有料版で利用可能で、チャット画面から直接プロンプトを入力するだけで、スムーズに画像を生成できます。
参考:https://openai.com/index/dall-e-3/
Canva
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Canvaはデザイン作成とAI画像生成を統合したオンラインプラットフォームです。プレゼンテーション資料やSNS投稿、マーケティング素材など、幅広い用途に対応できる点が特徴です。生成した画像をそのまま編集し、デザインに組み込めるため、作業の効率化にも役立ちます。
Text to Image機能を使えば、テキストを入力するだけで簡単に画像を生成可能です。さまざまなスタイルが選択でき、AIを活用したデザイン作成が直感的に行えます。基本的なデザインツールは無料で利用できますが、AI画像生成機能は有料版で提供されています。
参考:https://www.canva.com/ja_jp/
Copilot
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Microsoft CopilotはWindows環境と高度に統合されたAIアシスタントで、Office製品との連携を強みとするサービスです。特に、ビジネス文書への画像挿入や編集がスムーズに行え、Microsoft 365をはじめとする各種ツールとシームレスに連携できます。日本語でのプロンプト入力にも対応しており、精度の高い画像生成が可能です。
Copilotは、直感的な操作で生成AIの活用ができる点が特徴で、特にビジネスユーザーに適した設計になっています。Windows環境に最適化されたAIツールを探している場合、有力な選択肢の1つとなります。
参考:https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot/for-individuals
Artbreeder
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Artbreederはテキストや画像を組み合わせて新たな画像を生成できるAIツールです。通常のテキスト入力による画像生成だけでなく、既存の画像をアップロードし、AIがそれを基に新しいビジュアルを作成できる点が特徴です。テキストのみで指示することも、画像を活用することも可能なため、生成AIを初めて利用する人にも使いやすい設計になっています。
ArtbreederはGAN(敵対的生成ネットワーク)を活用し、アップロードした画像をもとにオリジナルのビジュアルを自動生成します。例えば、イラストからリアルな人物の顔を作成したり、風景写真を基に新しい景観を生み出したりすることができます。従来の画像生成AIとは異なり、ユーザーが画像の細かい調整を直感的に行える点も魅力です。
参考:https://www.artbreeder.com/
cre8tiveAI
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cre8tiveAIは画像や動画の編集、素材の生成を行うAIツールのプラットフォームです。写真やイラストの高画質化、似顔絵やイラストの自動作成、写真の動画化など、多様なAIツールが提供されています。直感的な操作で画像加工ができるため、デザイナーだけでなく、クリエイティブ作業を行うすべての人が利用しやすい設計になっています。
オープンソース型の画像生成AIとは異なり、特定の用途に特化したAIツールが揃っており、ドラッグ&ドロップで簡単に利用できる点が特徴です。クラウド上で処理されるため、高度なソフトウェアや専門知識がなくても高品質な編集が可能です。
MyEdit
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MyEditは日本語対応に優れたAI画像編集サービスで、画像生成やイラスト変換、高画質化など多彩な機能を備えています。アニメ風やリアル調など複数のスタイルに対応し、テキスト入力だけでなく、既存の画像をもとに新たな画像を生成できる点が特徴です。
また、画像の背景削除やオブジェクトの除去、ノイズ低減、ピンボケ補正など、写真加工に特化したツールも揃っており、簡単な操作で高品質な編集が可能です。ブラウザ上で利用できるため、ソフトのインストール不要で、スマートフォンやPCから手軽にアクセスでき、直感的な操作で使いやすく、幅広い用途に対応できるのが特徴です。
参考:https://myedit.online/jp/photo-editor
Fotor
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FotorはAI画像生成とプロ品質の画像編集機能を組み合わせたオンラインツールです。写真加工やフィルター機能が充実しており、生成した画像の微調整も同一プラットフォーム内で完結できます。ブラウザ上で動作するため、ソフトウェアのインストールは不要で、スマートフォンやPCから手軽に利用できます。
AIを活用した機能として、テキスト入力からの画像生成や、写真をイラスト風に変換する「AIイラスト化」、背景の削除や高画質化など、多彩な編集ツールが揃っています。また、複数の画像を組み合わせて新しいアートを生成する「AI画像フュージョン」など、クリエイティブな表現をサポートする機能も備えています。
DeepArt
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DeepArtは写真や画像をもとに作風を変換するAIツールで、アップロードした画像を著名な画家のスタイルに変換することができます。0から新しい画像を生成するのではなく、既存の画像を芸術的に加工する点に特化しているのが特徴です。
グレースケール画像の自動着色、画像の高精細化、背景の自動切り抜きなど、さまざまな編集機能を備えており、画像を元のサイズの4倍に拡大しながら品質を維持できる機能も搭載されています。すべての処理はローカル環境で行われるため、クラウドを介さずにプライバシーが保護される点も特徴です。
参考:https://www.deeparteffects.com/
Craiyon
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Craiyonは、テキストを入力するだけでオリジナルの画像を生成できるAIツールです。OpenAIが開発したDALL-Eをベースに作られており、特別な登録や招待なしで誰でも手軽に利用できます。
他の高度な画像生成ツールと異なり、Craiyonはシンプルなインターフェースと手軽さが特徴です。多くのAI画像生成ツールでは招待制やDiscordの利用が必要な場合がありますが、Craiyonはブラウザ上で直接アクセスし、すぐに画像を作成できる点が魅力です。
Image Creator
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Image Creatorは、Microsoftが提供する無料の画像・イラスト生成ツールで、DALL-E 3を活用してテキストから高品質な画像を作成できます。WebブラウザEdgeのサイドバーから直接操作でき、手軽に利用できるのが特徴です。
ユーザーがプロンプトを入力すると、AIがそれに基づいて画像を生成するほか、「お任せで探す」機能を利用すれば、AIが自動で適したプロンプトを提案することも可能です。リアルな写真風の画像からアニメ風のイラストまで、多様なスタイルに対応しており、さまざまな用途で活用できます。
参考:https://www.bing.com/images/create
ConoHa AI Canvas
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ConoHa AI Canvasは、Stability AI社の画像生成AI「Stable Diffusion XL」をWebブラウザ上で手軽に利用できるサービスです。高性能なNVIDIAのGPUをクラウド上で使用できるため、高価なPCを用意することなく、ハイクオリティな画像を生成できます。
プロンプトを入力するだけで画像の生成ができ、生成した画像はクラウド上に保存され、ファイル管理機能を活用して自由にダウンロードできます。枚数制限がないため、用途に応じた自由な画像生成ができるのも特徴です。
参考:https://www.conoha.jp/ai/canvas/
ImageFX
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ImageFXは、Googleが提供する無料の画像生成AIプラットフォームで、2024年6月にリリースされました。独自の「Expressive Chip」UIを採用しており、ユーザーが生成画像のバリエーションを直感的に選択できるのが特徴です。
日本語のプロンプトにも対応していますが、英語で指示を入力することでより精度の高い画像を生成できます。生成された画像には、Google DeepMindの「SynthID」という電子透かしが埋め込まれており、AIによる生成であることを証明できる仕組みが備わっています。
参考:https://labs.google/fx/ja/tools/image-fx
Drop AI
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Drop AIはプロンプトの知識がなくても高品質な画像やイラストを生成できるAI画像生成サービスです。Stable Diffusion XLをベースとした画像生成モデルを採用しており、実写風の画像からイラストまで幅広いスタイルに対応できます。
Drop AIの特徴は、プロンプトを自分で入力するだけでなく、インスピレーション画像のプロンプトをコピーしたり、AIが提案するプロンプト候補を活用したりできる点です。そのため、初心者でも直感的にアイデアを形にしやすくなっています。
画像生成AI利用時の注意点
商用利用の確認する
AI画像生成サービスを商用目的で利用する際は、利用規約の確認が不可欠です。多くのサービスでは、商用利用には有料プランが必要とされており、次の点を事前に確認することが重要です。
- 商用利用の定義
- 必要なライセンスや許諾の種類
- 商用利用時の制限事項や条件
- 料金プランごとの利用範囲
また、商用利用の場合は、生成画像の使用履歴や許諾記録を保持しておくことが推奨されます。
著作権や使用権の侵害を避ける
画像生成AIの学習において、各種の画像を用いること自体に問題はありません。ただし、生成された画像が他者の著作権や肖像権を侵害する可能性があるため、慎重な対応が求められます。特に、有名なキャラクターや商標に類似した画像を生成・使用すると、著作権侵害となる可能性があります。
AI画像生成における著作権対策として、次の点に注意する必要があります。
- 特定の作品や作家のスタイルを直接模倣しない
- 商標やブランドロゴ、キャラクターなどの知的財産を含まない画像を生成する
- 実在の人物をモデルにした画像を生成しない
生成画像の権利関係は各サービスの利用規約に準拠するため、事前の確認が重要です。
AIの学習データによる偏向の影響
AIは学習データに基づいて画像を生成するため、データに偏りがあると生成結果にも偏向が生じる可能性があります。特に思想や信条、宗教など多様性が求められる分野においては、生成結果の公平性を意識し、適切なプロンプト設定を心掛けることが重要です。
画像生成AIの悪用リスク
画像生成AIは便利な技術である一方、悪用の可能性も指摘されています。特に、実在の人物の顔を改変した画像を用いた誹謗中傷や、ディープフェイク技術による偽情報の拡散が問題視されています。精度の高い生成画像が作成できるため、詐欺やサイバー犯罪に利用されるリスクがあることを認識し、適切な利用を心掛ける必要があります。
最後に
画像生成AIは、テキストや画像をもとに多様なビジュアルを自動で生成する技術として、急速に発展しています。高精度な画像を短時間で作成できるため、クリエイターの作業効率を向上させるだけでなく、一般ユーザーが簡単に利用できる環境も整いつつあります。オープンソース型やクラウド型など、さまざまなツールが提供されており、それぞれの用途に応じた選択が可能です。
一方で、著作権や倫理的な課題も依然として議論の対象となっています。特定の作風を模倣したり、実在の人物に類似した画像を作成したりすることで、法的な問題が発生する可能性があります。また、AIが学習したデータの偏りにより、特定の表現が強調されるケースも指摘されています。こうした課題に対処するためには、利用規約を正しく理解し、適切な使い方を心掛けることが重要です。