Grok 3 β版:xAIも推論エージェントモデルをリリース

grok3

xAIが最新のAIモデル「Grok 3」のベータ版を発表しました。本モデルは、強力な推論能力と大規模な事前学習データを活用し、数学・コーディング・知識応用の各分野で大幅な性能向上を実現。さらに、コスト効率の高い「Grok 3 mini」も同時発表され、次世代の推論AIの可能性が広がっています。今後数週間以内に、Grok 3およびGrok 3 miniのAPI提供が予定されており、企業向けの高度なツール統合が可能になります。また、Grok 3を用いた初のエージェントである「DeepSearch」も利用可能となっています。

目次

Grok 3 の特徴と進化

xAIが発表したGrok 3は、これまでのGrokシリーズの中で最も高度なモデルであり、推論能力を大幅に強化しています。Colossusスーパークラスター(イーロン・マスク氏が率いるAI企業xAIが開発した世界最大級のAIトレーニングシステム)でトレーニングされ、前世代の10倍の計算能力を誇る本モデルは、推論、数学、コーディング、世界知識、指示の理解の面で飛躍的に向上しています。強化学習(RL)を活用し、エラー修正や代替案の評価が可能となり、より精度の高い回答を提供できるようになりました。特に、推論プロセスの透明性が向上し、ユーザーがモデルの思考過程を可視化できる「Think」モードが実装され、回答の正確性と信頼性が向上しました。

また、コスト効率の高い推論を実現する「Grok 3 mini」も同時発表され、さまざまなユースケースに適した選択肢が提供されています。Grok 3およびGrok 3 miniのAPI提供が予定されており、企業向けの高度なツール統合が可能になることで、より幅広い用途での活用が期待されています。

grok3 thinkの出力結果
Grok 3 thinkの出力結果(推論を多段階で実行)

DeepSearch による推論エージェントの進化

xAIは、Grok 3のさらなる進化として、推論エージェント「DeepSearch」の開発を発表しました。DeepSearchは、リアルタイムで情報を検索し、矛盾する情報を統合しながら、正確な結論を導き出す能力を備えています。これまでの検索エンジンとは異なり、単なる情報収集にとどまらず、得られたデータを解析し、最適な解釈を提供する点が特徴です。

このエージェントは、特に科学的研究や市場分析、リアルタイムニュースの要約などの分野で活躍が期待されています。例えば、複雑なテーマについて複数の情報源からデータを集め、矛盾する意見を整理しながら一貫性のある結論を導き出すことが可能になります。これにより、従来の検索エンジンを超える精度で情報抽出ができるようになり、より正確で迅速な意思決定を支援するツールとしての活用が期待されています。

Grok3初のエージェント「Deep Research」
Grok 3初のエージェント「DeepSearch」

推論の精度とベンチマーク結果

Grok 3の性能は、複数の評価基準で検証されました。特に、数学やコード生成、一般知識の分野で既存の最先端AIを上回る成績を収めています。

最新の2025年アメリカ数学招待試験(AIME’25)では、Grok 3 (Think)が93.3%の正答率を記録しました。これは、GoogleのGemini 2.0やDeepSeek-R1を上回る水準です。また、コスト効率の良いGrok 3 miniもAIME 2024で95.8%のスコアを達成し、数学分野での高い精度を示しました。

コード生成の評価基準であるLiveCodeBenchでは、Grok 3 (Think)が79.4%を記録し、Gemini 2.0を大幅に上回りました。Grok 3 miniも80.4%と安定したパフォーマンスを発揮し、プログラム生成の分野でも優れた能力を発揮しています。大学院レベルのGPQA(Graduate-Level Google-Proof Q&A)では、Grok 3 (Think)が84.6%の精度を達成し、長文情報処理を評価するLOFT(128kトークン)では、世界最高水準の83.3%の精度を記録しました。これらの結果から、Grok 3は数学・コーディング・知識応用の各分野で最先端のAIと比較しても優れた性能を持つことが証明されました。

Grok 3 thinkのベンチマーク結果
Grok 3 thinkのベンチマーク結果

「Grok 3」について一言

推論モデルと検索型エージェントのリリースが相次いでいます。Google、OpenAI、Perplexityに続きxAIからもリリースされました。今後のAnthropicからのリリースも予定されています。大規模言語モデルのトレンドが推論モデルへと移行し、検索・調査分野が実用性と実現性の両面で特に有望なエージェントのユースケースであることが明らかになっています。

モデルの性能が高度化し、人間がその質を評価することがますます難しくなっています。しかし、Grok 3を使用した率直な感想としては、処理速度が速く、使いやすいという点が挙げられます。また、推論モデルは検索過程を具体的な文章として残してくれるため、後から確認しやすく、推論プロセスの修正も可能になった点は非常に価値があると思います。モデル競争の行く末がどのようになるか、今後の展開に注目していきたいと思います。

出所:Grok 3 Beta — The Age of Reasoning Agents

ProFabサービス資料
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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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