Gemini for Google Workspaceとは?無料版との違いと料金体系

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Gemini for Google Workspaceとは、Googleが提供する生成AIをビジネス環境で活用するための統合型サービスです。かつてはDuet AIとして提供されていたこの機能は、2025年からGoogle Workspaceに標準搭載され、メール作成、文書要約、表の作成、画像生成、議事録の自動記録といった業務をアプリ内で直接支援します。

Gmailやドキュメント、スライドなど日常的に使うツールと連携しながら、チャット形式やサイドパネルからの操作で、業務の効率化を後押しします。個人向け無料版とは異なり、セキュリティや管理機能も備えたビジネス向け設計であり、企業利用における情報管理の安心感と生産性の両立を実現しています。

企業版生成AI導入アプローチ
目次

Gemini for Google Workspaceとは

Gemini for Google Workspaceとは、Google Workspaceに標準搭載された生成AI機能であり、メール作成や文書要約、データ整理、画像生成、議事録作成など多岐にわたる業務を支援します。かつては、Duet AIという名称で提供されていましたが、2024年2月にリブランドされ、2025年1月にはアドオンサービスとしての提供が終了し、Workspaceに直接統合されました。

Gmail、Googleドキュメント、スプレッドシート、スライド、Google Meetなど、主要なアプリと連携して動作するGemini for Google Workspaceは、チャット形式での対話やサイドパネルからの呼び出しによって、日常の業務を自然な形でサポートします。無料アカウントでは利用できませんが、Googleのプライバシーポリシーに基づき、入力内容や生成データが学習に利用されない点も企業導入の安心材料です。

Geminiでできること

Gemini for Google Workspaceでは、チャットアプリを通じたアイデア出しやリサーチ支援のほか、各アプリ内での作業支援が可能です。Gmailでは新規メールの草案作成、複数スレッドの要約、検索補助などが行えます。Googleドキュメントでは、文章生成や要約に加えて、画像生成やドキュメントの構成補助も提供され、プロジェクト計画書や議事録の作成を効率化できます。

スプレッドシートでは、テーブル生成や数式入力補助、スマートフィル、今後提供予定のグラフ作成やデータ分析支援などにより、業務のスピードが向上します。Googleスライドでは、プロンプトを入力するだけで資料に合った画像を自動生成でき、プレゼン資料の作成時間を大幅に削減できます。Meetでは、会議中のメモをリアルタイムで自動生成したり、翻訳字幕により多言語会議を円滑に進行させたりすることも可能です。

すべての機能は、Workspace内のファイルや情報と連携して動作するため、別途データを準備する必要がなく、既存の業務フローの中で自然に生成AIを導入できる点が大きな利点です。

無料版との違い

無料版のGeminiウェブアプリは個人利用を想定しており、入力データがAI学習やサービス改善に使用される可能性があります。そのため、企業での使用には情報漏洩リスクが伴い、利用の制限や管理が困難になるケースも少なくありません。

一方、Gemini for Google Workspaceは、ビジネス利用に特化して設計されており、セキュリティ面の配慮やデータ保護方針が明確に示されています。Google Workspaceと密接に連携しながら、情報資産を守りつつ業務の生産性を高められることから、安心して導入できる選択肢として注目されています。

Gemini for Google Workspaceの料金体系

Google WorkspaceのBusinessエディションでは、月額800円からGeminiを利用できます。スタンダード以上のプランであれば機能制限なく活用可能で、メール作成、文書要約、データ分析、画像生成などのAI機能が標準で利用できます。Enterpriseエディションでは、より高度な機能や無制限のユーザー数に対応しており、大企業やセキュリティ要件の高い組織に適しています。

プランカテゴリエディション名料金(年契約の場合)
BusinessStarter月額800円
BusinessStandard月額1,600円
BusinessPlus月額2,500円
EnterpriseEssentials / Standard / Plusお問い合わせ

参考:https://googleworkspace.tscloud.co.jp/pricing/

Gemini for Google Workspaceの活用方法

Gemini for Google Workspaceは、Google WorkspaceのBusinessまたはEnterpriseエディションを導入していれば、2025年1月以降は設定不要で自動的に利用可能となります。GmailやGoogleドキュメント、スプレッドシート、スライド、Meetなど、主要なアプリに生成AI機能が組み込まれており、業務効率を高めるさまざまなサポートを提供しています。

Gmail

メール作成支援「Help me write」やスレッドの要約、検索、サイドパネルの活用が可能です。今後は、文脈に応じた返信候補を提案するスマートリプライも提供予定です。

Google Chat

サイドパネルからGeminiを呼び出し、会話の要約機能が利用できます。自動翻訳機能は今後追加される予定です。

Google Meet

会議内容の翻訳、メモの自動生成、映像・音声のサポートが可能です。画面の不正使用を防ぐ透かし機能は、Business Plus以上のプランで提供されます。

Google ドキュメント

文章作成支援「Help me write」、要約機能、文書の自動生成を含む複数のAI支援機能を活用できます。サイドパネルからも操作が可能です。

Google スプレッドシート

AIがデータパターンを学習し、自動で入力候補を提案する「拡張版スマートフィル」が利用できます。データ整理や分析の効率が大幅に向上します。

Google スライド

画像の生成や背景の削除といった機能が提供されており、プレゼンテーション資料の作成がより迅速かつ簡便になります。

Google ドライブ

PDFファイルの要約、情報の抽出、コンテンツ作成などに対応するPDFの分析機能が利用できます。

Google Vids

AIを活用した動画作成ツールで、ナレーションの生成や画像の背景削除なども可能です。Business Standard以上のエディションで利用できます。

Geminiアプリ(ウェブ版)

チャット型のGeminiウェブアプリが利用でき、より高度な機能を備えた「Gemini Advanced」やカスタマイズ機能「Gem」も、Business Standard以上で使用可能です。

NotebookLM

ノート形式でAIによる情報整理や要約が行えるツールです。Business Starter以外では、さらに機能が強化されたNotebookLM Plusも利用できます。

セキュリティ機能

Enterprise Plus限定で、Googleドライブ上のファイルに対してAIが機密性を自動判定し、ラベル付けを行う機能が提供されます。セキュアかつ効率的な情報管理が実現できます。

Gemini for Google Workspaceの利用時の注意

Gemini for Google Workspaceは高機能な生成AIである一方、活用にはいくつかの注意点があります。特に、情報の正確性や著作権に関するリスクを理解し、適切な運用を行うことが重要です。AIが生成する内容に依存しすぎず、人による確認を組み合わせることで、トラブルの回避と安全な活用が可能になります。

正確性には限界がある

Geminiは、あくまで文脈に基づいて次に続く語句や表現を予測する仕組みで動作しており、すべての分野で正確な知識を持っているわけではありません。特に専門性の高い情報や学術的な内容については、誤った説明や事実に基づかない情報を自然な文章として生成してしまうハルシネーションが発生することがあります。

解説や技術的な説明を求めた場合でも、表現が自然であっても誤りを含む可能性があるため、必ず人の目で確認することが求められます。生成された内容をそのまま信頼せず、自身で検証できない内容についてはGeminiに任せないという判断が必要です。

著作権に関する配慮とGoogleの補償

AIが生成した文章や画像が、既存の著作物や登録商標と類似してしまうリスクもゼロではありません。この点に関して、Googleは以下の2つの補償制度を設けています。

  • トレーニングデータに関する補償:GoogleのAIモデルが学習に使用しているデータが、第三者の知的財産権を侵害していると申し立てられた場合、その責任をGoogleが負います。ユーザー側がトレーニングデータの内容まで気にする必要はありません。
  • 生成された出力に関する補償:ユーザーがGemini for Google Workspaceを使って作成したコンテンツが著作権侵害などの申し立てを受けた場合にも、Googleがその責任を引き受けます。生成された文章や画像の使用において法的なリスクを最小限に抑えた運用が可能です。

生成AIを業務で安全に使いこなすためには、こうした注意点を理解し、リスクを回避する姿勢が不可欠です。必要に応じて、人の手による確認や社内ポリシーとの照合を行いながら、安心して活用できる体制を整えることが求められます。

参考:https://cloud.google.com/blog/products/ai-machine-learning/protecting-customers-with-generative-ai-indemnification/?hl=en

最後に

Gemini for Google Workspaceは、既存のGoogle Workspaceアプリケーションに自然に組み込まれ、生成AIの恩恵を受けながら業務の質とスピードを向上させることができます。メールや文書の作成支援、データ整理、画像生成、会議メモの自動化など、多彩な機能が各アプリに標準で搭載されており、追加設定なく利用できる点も利便性を高めています。

また、企業向けには情報の正確性や著作権への配慮、Googleによる補償制度も整備されており、安心して活用できる環境が整っています。業務効率化を目指す中で、信頼性と安全性を兼ね備えた生成AIとして、Gemini for Google Workspaceは多くのビジネスシーンでの導入が期待されています。

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

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