声優の権利保護へ新団体設立:AI音声データの認証で透明性と公正性を確保

AI技術の進展に伴い、声優の音声データの権利保護が重要視されています。国内初の音声データ認証団体「日本音声AI学習データ認証サービス機構(AILAS)」が来月設立されるということで詳細を見ていきます。

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日本音声AI学習データ認証サービス機構(AILAS)とは

AIに学ばせる音声データを認証する団体が、来月にも設立されます。団体名は一般社団法人「日本音声AI学習データ認証サービス機構(AILAS)」で、研究者や弁護士が中心メンバーとなり、システム開発を経て来年から本格的に始動する予定です。

AIと知財保護については、内閣府の有識者検討会が2024年5月に中間とりまとめを発表し、著作権法などの法令に加え、技術(トレーサビリティなど)や契約(権利者との個別契約など)も組み合わせた権利保護を進めることとしています。

しかし、著作権法では保護されない「声優の声」については今後の検討課題となっており、すでにAIによる声優の声を使った「AIカバー」がネット上に広がり、被害が出始めている声優からは対応を求める声が上がっています。

AILASは、声優や事務所がまとめた音声データに対して「登録認証」のラベルをつけます。これにより、音声データの透明性や権利関係が保証され、開発者は安心してデータを購入でき、声優も対価を得られるようになります。また、AI開発者の学習モデルや製品にもラベルを与え、一般利用者も安心して音声AIを使用できるようにします。

海外では報道機関とAI開発者との契約が進んでおり、例えばOpenAIはFinancial Timesと提携しています。AILASもこうした情報のフェアトレード構築を目指しますが、個々の契約には立ち入らず、関係団体に任せる方針です。

「声優の権利保護へ新団体設立」について一言

生成AIが取り扱うものには言語、画像、音声、映像など様々ありますが、今回は音声の権利保護に関するニュースです。法令上権利の不明確な声優の音声について、政府の全体間のある検討を前に、各論かつ実務レベルでエコシステムを作りにいくのはとても理にかなっていると思います。

リスクのあるところに認証保証機関、認証付与機関、認証取得コンサルあり。音声以外の権利保護に向けたリスク領域にビジネスエコシステムがどのような形になるのか興味深いものです。

出典:声優の利益保護へ音声データを認証 AIカバー対策、初の団体設立へ(朝日新聞 DIGITAL)

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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