保険業の証券画像文字起こし&報告書作成システム
営業部門が目視入力から解放され、提案作成までを自動化
お客様のプロフィール
売上高数百億円規模の保険代理店。顧客から受領した保険証券をもとに、同社独自のエクセルロジックでシミュレーションを実行し、最適な保険プランを提案していた。しかし、膨大な保険証券情報の読み取り作業は手入力で行っており、工数がかかっていた。
導入前の課題
手作業の限界
営業が証券 PDF を紙面と画面を行き来しながら手入力。タイポや数値ズレが頻発し、ダブルチェック工程も増え工数が膨張。
提案書作成のタイムラグ
転記→計算ロジック適用→社内レビューに 2〜3 営業日を要し、繁忙期は 1 週間先送りに。商談ロストの主要因になっていた。
商品情報のキャチアップ負担
保険商品は数百種類と膨大で、営業側が最新情報を都度キャッチアップし、証券を認識し、提案を作成する負担が重かった。
DX 方針と現場プロセスの乖離
全社で「ペーパーレス・自動化」を掲げていたものの、証券取り込み〜提案作成の主幹プロセスは依然として手作業に依存。
当社の提案したソリューション
Google Driveに保険証券を格納し、定期的にトリガーが発生して保険証券ファイルがDifyへ連携される。Difyで保険証券の画像認識を行い、提案ファイルを作成する。その後、Google Driveの指定フォルダに提案ファイルが格納される。

保険証券のレイアウト差を吸収するため、出力形式を統一した JSON スキーマを活用。推論後にスキーマ検証と自動リトライを挟む二段構えで、1 PDF 50項目超でも 90%+ の抽出精度を維持。
画像から取得した 50 項目超のデータをもとに、システムがテキスト解説・比較表までワンストップで生成し、自動化の限界値ギリギリまで人手を排除。
証券 PDF を Google Drive に置くだけで処理が走り、出力は Google Driveに自動反映。追加ツールのインストールや特別な研修が不要で、現場へ自然に定着。
技術仕様
システム構成
- Difyワークフロー
- Gemini 2.5 Pro / Flash
- Google Drive
システム性能
- 応答速度:3分以内/件
- 認識精度:≥ 90%
導⼊プロセスとスケジュール
要件定義
読み取るべき保険証券の種類、出力する提案のコンテンツ、Difyを含めた入力・処理・出力のユーザーインターフェースについて、現行の運用を踏まえて要件を定義。
画像認識機能の検証
各種ビジョンモデル(画像認識AI)と3種類の保険証券を用意し、画像認識の精度を検証。モデルを決定した上で、プロンプトのチューニングにより精度を向上。その後、保険証券の種類を5種類ほど追加してチューニング。
提案作成機能の実装
要件定義フェーズで定義したコンテンツ案をもとに、報告書の出力形式を調整。テキスト、表形式、図表など、どこまで表現できるかについて検証した上で、最終仕様を確定。
ユーザーインターフェースの構築
入出力用のGoogle Driveフォルダを定義し、Difyとの連携ネットワークを構築した上で、全体プロセスにおけるデータフローの疎通を検証。
営業部門へのリリース
営業部門へリリース。フィードバックを踏まえ継続的に改善。
成果と導⼊効果
転記ゼロで月 160 時間を創出
1 証券あたり平均8時間を要していた手入力を完全自動化。月間処理件数は約20件であり削減工数は延べ160時間(≒1人月)。
提案リードタイムを“当日”へ短縮
転記完了まで 2〜3 営業日を要していた従来フローが、PDF アップロード当日に提案書が完成するワンデーフローに刷新。
画像認識90%超の高精度を実証
厳密なJSONスキーマ検証とリトライ制御を組み込み、50項目超を含む5種の証券レイアウトでも92.4%の項目抽出精度を維持。
多様なドキュメントへの横展開を加速
画像認識・自動生成フローを転用し、領収書・財務諸表・見積書など別形式の帳票など他ドキュメントへ横展開。
最適なモデルと条件を組み合わせることで、スキャン品質の低いPDFファイルでも驚くほど高い精度で読み取りが実現できている。これまで複数名のスタッフが保険証券の情報転記という単純作業に従事していたが、今回のツールによって業務プロセス全体を自動化することができた。保険業界は高度に専門的な領域であり、一般的なIT企業では全ての要件をこちらから詳細に指示する必要があるが、コンサルティング経験を持つIT人材が要件定義フェーズから参画してくれたことで、コミュニケーションが非常にスムーズになり、プロジェクト推進が格段に効率化された。
代表取締役社長
生成AIコンサルティング
生成AIツール(ChatGPT、Gemini、Microsoft Copilot など)の選定から組織浸透までをワンストップで支援。経営目標から逆算したユースケース発掘、1Dayハンズオン、PoC検証、導入後の運用定着まで伴走し、社内にAI活用カルチャーを根付かせます。


AIアプリケーション開発
ローコードの Dify や Microsoft Copilot Studio をはじめ、LangChain/Python など最適な技術スタックを組み合わせて、本番運用に耐える AI アプリを短期間で構築。複数LLM・社内データ・外部SaaS を安全に連携し、業務フローに溶け込む AI 実装を実現します。




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