OpenAIのCEO、サム・アルトマンは、ChatGPTの2周年を記念して自身のブログを通し、過去の経験や未来の見通しを語りました。2022年のChatGPTリリースは、AI革命の大きな転換点となり、他のどのような企業にもない成長を記録しました。その成功の裏には、課題や試練も多かったと語り、反省や成長について伝えています。未来に向けては、AGIやASIの間違いのない到来と、社会に対する前向きなインパクトに対する確信を示しています。
サム・アルトマンのブログ要約
OpenAIのCEOサム・アルトマンは、ChatGPTの2周年を迎えるにあたり、自身のブログで過去の経験や未来の見通しを語りました。彼は、2022年11月にChatGPTをリリースしたことがAI革命の転換点となり、OpenAIや業界全体に前例のない成長曲線をもたらしたと振り返っています。この成功の背後には、ユーザーやパートナー、社員からの絶大なサポートがあり、アルトマン氏はそれらへの深い感謝を表明しました。
しかし、過去数年間の道のりは気軽なものではありませんでした。特に、突然の解雇騒動という個人的な試練を経験し、その中でガバナンスの課題やリーダーシップの重要性を痛感したと語っています。解雇後の混乱の中でも、支援者たちと共にOpenAIを立て直し、現在は週次アクティブユーザー数が1億人から3億人以上に成長する成果を上げています。
アルトマン氏はまた、AI技術の進化がもたらす社会的恩恵とその責任について触れ、未来にはAIエージェントが労働市場に参加する可能性を示唆しました。さらに、最終目標である“超知能”の構築によって、科学的発見や人類の繁栄を加速させることを目指していると述べています。このブログ全体を通じて、彼の燃えるような熱意と見通し、そして試練を乗り越えながら進む姿勢が鮮明に描かれています。
「未来の見通し」に関する原文
We are now confident we know how to build AGI as we have traditionally understood it. We believe that, in 2025, we may see the first AI agents “join the workforce” and materially change the output of companies. We continue to believe that iteratively putting great tools in the hands of people leads to great, broadly-distributed outcomes.
私たちは、従来の理解に基づくAGIの構築方法を確信しています。そして、2025年には、最初のAIエージェントが“労働市場に参加”し、企業の生産性を大きく変える可能性があると信じています。優れたツールを人々の手に送ることで、すばらしい成果が広く行き渡ると信じ続けています。
We are beginning to turn our aim beyond that, to superintelligence in the true sense of the word. We love our current products, but we are here for the glorious future. With superintelligence, we can do anything else. Superintelligent tools could massively accelerate scientific discovery and innovation well beyond what we are capable of doing on our own, and in turn massively increase abundance and prosperity.
私たちはその先、言葉の本来の意味での“超知能”へと目標を移し始めています。現在の製品を愛していますが、私たちがここにいるのは輝かしい未来のためです。超知能があれば、他のすべてのことが可能になります。超知能ツールは、私たち自身の能力をはるかに超えた科学的発見やイノベーションを大幅に加速させ、その結果、豊かさと繁栄を大きく向上させることができます。
「サム・アルトマンのブログ」について一言
技術に関する発信というよりは、OpenAIの取り組みに関して、創業者であるサム・アルトマンが振り返る内容です。昨年末の解雇、復帰、GPT-4oのリリース、推論モデルであるo1のリリースなど、想像には全く及ばないほど日々を振り返っています。当然ながらOpenAIというブランドが惹きつける優秀な社員がいることは当然ですが、どれだけハードワークをしたらこれほどまでの速度で企業活動を推し進めることができるのか、常々思っていました。特に年末の連日のリリースは凄まじいものがありました。
ブログを拝見すると、我々が認識しているのはOpenAIがChatGPTをリリースしてからの2年間である一方で、そこに至るには7年間の地道な研究開発期間が存在していたことも綴られており、ディープテックビジネスに求められる時間軸、忍耐強さについて、浅はかながら想像を及ぼす機会を提供してもらいつつ、長期的なイノベーションの礎となるようなドメインで勝負ができていることに対して羨ましさを感じたりもします。
話は変わりますが、AGIやASI(超知能)については昨年のソフトバンク:孫正義氏の講演でも取り上げられていましたが、本ブログでも今後の展開が示唆されています。セキュリティ・リスク観点で様々な意見の飛び交う当分野ですが、OpenAIのこれまでの道のりを考えると、人類として最善の策を講じつつ、開発を進めることを信じています。社会実装サイドの我々もその意思を受け継ぎつつ、安全なAI社会の実現に一役買う存在になりたいと改めて思いました。
出所:Reflections