Sakana AI、1億ドル超のシリーズA資金調達を完了:NVIDIAとの提携で日本のAI革新を牽引

Sakana AI SeriesA

東京を拠点とするAI研究開発企業、Sakana AIは、NVIDIAを含む投資家から1億ドル超のシリーズA資金調達を完了しました。NVIDIAとの戦略的パートナーシップを通じて、同社はAI基盤モデルの開発と、日本のAIコミュニティの発展に向けた取り組みをさらに加速させる計画です。

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目次

Sakana AI資金調達の概要

2024年9月4日、Sakana AIはシリーズA資金調達ラウンドで1億ドル以上を調達し、大きな注目を集めました。今回のラウンドは、New Enterprise Associates、Khosla Ventures、Lux Capitalが主導し、NVIDIAも参加しています。この資金調達は、Sakana AIがAI研究においてさらなる飛躍を遂げるための重要なステップとなります。

    NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンセン・フアン氏は、Sakana AIが日本におけるAIの民主化に大きな役割を果たすと評価しています。同社が開発する先進的な基盤モデルは、科学的発見の自動化と迅速化を支援し、日本におけるAI技術の競争力を高めることを目指しています。また、Khosla Venturesの創業者ヴィノード・コースラ氏は、Sakana AIが世界的なAI研究機関の中でも革新の道を切り開いていると称賛しており、NVIDIAがこの旅に加わったことを喜んでいます。

    Countries are embracing Sovereign AI to capture and codify their data, culture and language through their own unique large language models. The team at Sakana AI is helping spur the democratization of AI in Japan by developing cutting-edge foundation models to automate and speed up scientific discovery with NVIDIA’s accelerated computing platform.”

    Jensen Huang, Founder and CEO of NVIDIA

    While many labs globally are trying to catch up, and train foundation models by using the same techniques as everyone else, Japan’s Sakana AI is showing the path to innovation. We have been early investors and are thrilled to have NVIDIA join us on this journey.”

    Vinod Khosla, Founder of Khosla Ventures

    Sakana AI調達資金の使い道

    Sakana AIの今後の成長を支える重要な柱として、NVIDIAとの提携があり、研究開発での協業、日本国内のデータセンターの活用、日本のAIコミュニティの発展という3つの要素を軸としています。

      研究開発については、Sakana AIが先進的な技術を開発するために(進化的最適化手法のスケール拡大やスパース性の活用)、NVIDIAのGPU技術を活用します。また、Sakana AIはモデル開発における日本独自の深いニーズ理解を踏まえ、NVIDIAがサポートする日本国内のデータセンターでの初期段階のテストを実施し、日本のAI技術開発における競争力を強化します。さらに、Sakana AIはNVIDIAと協力して日本のAIコミュニティの発展にも注力しています。現在、日本のAIタレント層は中国や米国に比べて技術的に限られていますが、Sakana AIはAI技術の高度化を通じて、この状況を改善するためのイベントやハッカソン、大学との連携活動を計画しています。

      基盤モデルのグローバルプレイヤー
      基盤モデルのグローバルプレイヤー

      「Sakana AIの資金調達」について一言

      基盤モデルの開発はGPUなどの半導体とセットです。1枚200-300万円以上するGPUをベースとしたチップが求められるこの分野なだけあり、資金調達額もビッグです。GPUの分野で独走するNVIDIAとの提携関係も、GPUの供給が生命線であることから、Sakana AIの成長を後押しするでしょう。

      生成AIに関するビジネスを謳う企業が数多く存在しますが、基盤モデルに関するビジネスは投資規模の桁の違いから、国内ではソフトバンクやNTT、富士通といった大企業が中心で、スタートアップではELYZAやSakana AIに限られています。AI分野で成功するスタートアップが出てくるのか、要注目です。

      本筋から外れますが、プレスリリース本文にはSakana AIのネーミングやロゴの開発意図が記載されています。このプレスのサムネイル写真も含めて、Sakana AIは個人的にデザインのセンスも良いと感じており、抱えている人材の質の高さが表出されているようにも感じます。

      出所:Announcing Our Series A

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      執筆者

      慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

      TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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