Meta AIアプリのスマホ版リリース:進むマルチデバイス対応

Metaが2025年4月に発表したスマートフォン向けの「Meta AIアプリ」は、従来のチャットボットやスマートアシスタントの枠を超えた、個人に寄り添う次世代のAI体験を提示しています。Llama 4を基盤にしたこのアプリは、音声対話に最適化され、スマートグラスやWebと連携することで、場所を問わずスムーズにAIと対話できる環境を提供します。

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Meta AIアプリのスマホ版リリース

Meta AIは、Meta社が開発した音声とテキストに対応したAIアシスタントです。Llama 4をコアに据え、個人の好みや行動パターンを学習することで、より関連性の高い情報提供や会話が可能になります。この度iOSおよびAndroidのスタンドアロンアプリとして提供され、スマホ単体でも動作するようになりました。

このアプリは、WhatsApp、Instagram、Facebook、MessengerなどのMeta各プロダクトにすでに統合されていたMeta AIから独立してリリースされ、ユーザーが音声中心の会話体験をより深く楽しめるよう設計されています。全二重音声技術(full-duplex speech:話す・聞くを同時に行える音声通信技術)が導入されており、AIとの会話がより人間らしく、同時発話や割り込みが可能になりました。現在はデモモードとして米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで提供されており、日本を含むその他の地域ではまだ利用できません。

アプリには「Discover(ディスカバー)」というフィードが用意されています。これは、他のユーザーがどのようにMeta AIを活用しているかを閲覧できる場であり、AIとのやり取りのプロンプトを公開・共有・リミックス(再利用)することができます。例えば、旅行計画の作成プロンプトや画像生成の工夫、日々のライフハックなど、実際のユースケースを参考にしたり、自分流にカスタマイズしたりすることで、新たな使い方の発見が期待されます。

Meta AIは、ユーザーが明示的に指定した情報(例:旅行好き、言語学習に関心があるなど)を記憶することができます。また、FacebookやInstagramアカウントを同一の「アカウントセンター」に紐づけることで、ユーザーが過去に「いいね」した投稿やプロフィール情報を元に、より文脈に合ったパーソナルな回答を返してくれます。この機能は現在、米国とカナダでのみ提供されています。

Meta AIアプリのマルチデバイス化

2023年にデジタルデバイスであるRay-Ban Metaグラスがリリースされましたが、同グラスとの連携も進んでいます。Ray-Ban Metaグラスは見た目には通常のサングラスやメガネとほとんど変わらない自然なデザインが特徴です。フレームには12MPカメラ、オープンイヤースピーカー、マイク、タッチパッドが組み込まれており、写真・動画の撮影、音楽再生、通話、Meta AIとの対話が可能です。音声操作にも対応しており、「Hey Meta, take a picture」などのコマンドでハンズフリー操作が行えます。

今回の連携で、Meta AIによる画像認識、リアルタイム翻訳、楽曲検索(Shazamとの連携)など、AI機能も活用できます。また、メガネ経由でも音声によるAI対話が可能で、ハンズフリーでの情報取得やメモ作成、タスク支援など、リアルな日常への浸透が進んでいます。なお、Ray-Banグラスとの音声連携機能も日本では未対応です。

Meta AIのWeb版もアップデートされ、音声入力やDiscoverフィードに対応。大画面に最適化されたUIで画像生成や編集機能も強化されており、プリセットやスタイル変更、ライティング調整などが可能になっています。さらに、ドキュメント生成および読み込み解析機能も試験提供中で、テキスト+画像を含むコンテンツをPDFで出力したり、逆に既存のドキュメントをAIに読み取らせて分析させるといった使い方ができるようになります。ただし、これらの新機能も現時点で日本では利用できません。

「Meta AIアプリ」について一言

Meta AIアプリは、単なるチャットアプリではなく、ユーザーの文脈を理解し、過去の履歴を活かしながら対話する「パーソナルAI」です。音声とマルチデバイス連携を活用することで、家庭・外出先・オフィスといったあらゆるシーンでAIを自然に使える時代が到来しました。現在のところ日本国内では多くの先進機能(音声対話やパーソナライズ機能、Ray-Ban連携など)が未対応であり、今後の対応が待たれるところです。この進化がどのように人々の生活や仕事に組み込まれていくのか、今後の展開に注目です。

Meta AIの進化により、ユーザーとサービス提供者の両面で新たな可能性が広がっています。ユーザーにとっては、FacebookやInstagramといった既存サービスと連携することで、質の高いパーソナルな回答を得ることが可能になります。一方で、記憶機能によって過去の情報が影響するため、想像力や偶発性に富んだやり取りにはやや制限がかかる場面も考えられます。

サービス提供者側から見ると、ユーザーとのやり取りの履歴を活かした精度の高い広告配信やレコメンドの設計が可能になります。また、ソフトウェアの充実に伴って、スマートグラスをはじめとするハードウェア側のUIやUXの認知が高まることで、AIデバイスとしての普及も加速する可能性があります。

出所:Introducing the Meta AI App: A New Way to Access Your AI Assistant

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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