IT業界の急速な変革を牽引するローコード/ノーコード開発プラットフォーム。その未来は、生成AIとの融合によってさらなる成長が期待されています。IDC Japanの最新の市場予測によると、2023年から2028年にかけて年平均成長率17.1%の伸びを見せ、2028年には市場規模が2,701億円に達する見込みです。
ローコード/ノーコード開発プラットフォームの未来
IT専門調査会社のIDC Japan株式会社は、国内ローコード/ノーコード/Generative AI(生成AI)開発テクノロジー市場の予測を発表しました。この発表によると、2023年の国内市場規模は1,225億円に達しており、2028年には2,701億円に成長する見通しです。年間平均成長率(CAGR)は17.1%とされており、この分野に対する関心の高まりが数字にも表れています。
IDCが定義する「ローコード/ノーコード/生成AI開発テクノロジー市場」には、開発プロセスを合理化し、フルタイムの開発者がより迅速にタスクを完了できる製品や、組織のビジネス担当者(LOB開発者)を支援するためにコーディングの知識を抽象化するインターフェースを提供する製品が含まれます。
特に、生成AIはローコード/ノーコード開発の補完役として、開発者体験を一変させる可能性を秘めています。生成AIは自然言語インターフェースを通じて非技術者でも直感的に操作できる開発環境を提供し、さらにコーディングアシスタントやテスト自動化ツールとしても活躍しています。
![IDC:ローコード/ノーコード開発プラットフォームの売上額予測](https://profab.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/IDC-chart.png)
IDC Japan株式会社のSoftware & Services部門リサーチマネージャーである木村伸一氏は、「生成AIを取り入れた多くのローコード/ノーコードプラットフォームの提供ベンダーが、製品強化を加速させています。この動きは市場にとって大きなビジネスチャンスである一方で、ユーザー企業との期待のギャップを生じさせないためにも、適切なビジネス目標の設定とビジネス成果を確実に達成するための支援が必要です」とコメントしています。
市場の詳細な予測は、IDCが発行する「国内ローコード/ノーコード/Generative AI開発テクノロジー市場予測、2024年–2028年」にて参照可能です。
ローコード/ノーコード開発プラットフォームとは
ローコード/ノーコード開発プラットフォームとは、プログラミングの専門知識がなくても、あるいは最小限のコーディングでアプリケーションやシステムを開発できる技術です。日本国内で利用可能な主要なプラットフォームには次のようなものがあります。
OutSystems:Webアプリケーションやモバイルのネイティブアプリケーションの開発が可能で、任意のプログラミング言語で独自コードを追加し、プラットフォームを自由に拡張できます。
WebPerformer:キヤノンITソリューションズが提供するプラットフォームで、Webシステムを素早く構築でき、設計書の作成工程やテスト工程も短縮可能です。
TALON:株式会社HOIPOIが提供する日本製のプラットフォームで、「ブロックシステム」を採用しており、ブロックを組み合わせて複雑なシステムを作成できます。
Salesforce Platform:世界トップシェアのSFA/CRMであるSalesforceの開発プラットフォーム上で、ローコード/ノーコードでのアプリ開発が可能です。
Now Platform:米サービスナウ社が提供するプラットフォームで、フォーム、リスト、チャートなど、すぐに使えるコンポーネントが豊富に用意されています。
![JITERA:ローコード/ノーコード開発ツール](https://profab.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/jitera-press.png)
「ローコード/ノーコード開発プラットフォームについて」一言
コード開発については、一般的なコード開発をAIにより効率化するCursorやGithub Copilotなどのツールもありますが、こちらの調査の対象はKintoneやSalesforceのような「ローコード/ノーコードツール(元々複雑なコードを使うことを想定していない)」が対象のようです。そういう意味で、弊社でもサービス提供しているノードベースの開発プラットフォーム「Dify」は入っているのかな・・・というイメージです。
ローコード/ノーコード開発プラットフォームの今後について考えてみると、AIとの掛け合わせにより「①これまで構築したアプリにAIを組み込む」、「②開発プロセス自体を効率化する」という2つの方向性の嬉しさがあると思います。
①についてはAIによる価値創出がはっきりと感じられる部分です。これまで構築したワークフローに言語モデルを組み込むことで知的な作業も自動化することができます。ただし、言語モデルごとにセキュリティも異なるので、使いこなす側の企業のポリシーが制約条件となる可能性があります。
②については、学習する社内データがあるかどうかが分かれ道だと思います。開発で最も議論になるのは要件定義です。仮にすでに構築したアプリの情報を学習させることができれば、要件定義を最小限とすることができるので、AIによる恩恵をフルに享受することができると思います。