GPT-6 Astra は本当に高いのか?コーディングやコンピュータ操作で検証

GPT-6 Astra は本当に高いのか?コーディングやコンピュータ操作で検証

GPT-6 Astra は、OpenAI が9月に公開した最上位モデルです。性能の評判と並んで聞こえてくるのが「高い」という声です。では実際に仕事をさせると、いくらかかり、どこまでの物ができるのでしょうか。スライド作成、アプリケーション開発、3D モデリング、サイト制作の4つを試しました。結論から言うと、スライドやアプリのように Astra がプログラムを書いて片付けられる仕事は1件あたり数百円でした。STUDIO でのノーコードのサイト制作のように、人の代わりに画面を操作させる仕事は1件で6千円です。後者については、AI に任せるほうが逆に人より高くつくケースも出てくるかもしれません。

目次

Astra の概要

性能

Astra の特徴は、PC の画面を見ながらマウスとキーボードで操作する「コンピュータ操作」の性能です。OpenAI は、フォーム入力、顧客管理システムの更新、Web 調査と要約、スライドや表計算の作成を用途として挙げています。PC 操作の標準的な試験である OSWorld 2.0 では、前のモデル GPT-5.6 Sol の 65.7% に対して 72.6% を記録し、同じ費用でより高い成績を出しています(数値はいずれも OpenAI の発表ページ より)。

OSWorld 2.0 の成績と API 費用の関係。星が GPT-6 Astra、丸が前モデルの GPT-5.6 Sol、三角が Claude Opus 5(出典: OpenAI「Introducing GPT-6 Astra」、2026-09-13 取得)
OSWorld 2.0 の成績と API 費用の関係。星が GPT-6 Astra、丸が前モデルの GPT-5.6 Sol、三角が Claude Opus 5(出典: OpenAI「Introducing GPT-6 Astra」、2026-09-13 取得)

もう1つの柱がプログラムを書く力です。ターミナル上でコードを書いて課題を解く試験 Terminal-Bench 4.0 で 57.9%、科学分野の同種の試験で 64.6% と、比較対象のモデルを上回っています。今回の4つの検証のうち3つは、この力で片付いています。学術系の試験でも、数学の FrontierMath Tier 4 で 97.6%、科学の質問応答 GPQA Diamond で 96.0% と、公式の比較表の中で最上位です。ただしこれらは OpenAI が自社の環境で測った値で、実務での出来を保証するものではありません。

学術系と科学分野の試験の成績。左から GPT-6 Astra、GPT-5.6 Sol、Claude Fable 5.1、Claude Fable 5、Claude Opus 5、Gemini 3.8 Flash(出典: OpenAI「Introducing GPT-6 Astra」、2026-09-13 取得)
学術系と科学分野の試験の成績。左から GPT-6 Astra、GPT-5.6 Sol、Claude Fable 5.1、Claude Fable 5、Claude Opus 5、Gemini 3.8 Flash(出典: OpenAI「Introducing GPT-6 Astra」、2026-09-13 取得)

料金

API の料金は、入力と出力のデータ量で決まります。単位はトークンで、日本語なら1文字がおよそ1〜2トークンです。もう1つ知っておきたいのがキャッシュです。同じ文章を何度も読ませるとき、AI は一度読んだ内容を一時保存して再利用します。この保存と再利用にそれぞれ別の料金がかかります。100万トークンあたりの料金は次の通りです。

区分入力キャッシュの再利用キャッシュの保存出力
通常10.00ドル1.00ドル12.50ドル50.00ドル
高速(2倍速)20.00ドル2.00ドル25.00ドル100.00ドル
1回の処理が27万トークン超20.00ドル2.00ドル25.00ドル75.00ドル

(出典: OpenAI API の料金ページ、2026-09-13 取得)

料金の説明でよく出てくるのは「入力10ドル、出力50ドル」の2つですが、請求額を左右する項目がほかに2つあります。1つはキャッシュの保存で、単価は入力の1.25倍です。長い手順書を毎回読ませると、その分がキャッシュの保存料として請求されます。もう1つは、1回に読ませる量が27万トークンを超えたときの割増で、入力の単価が2倍、出力が1.5倍になります。

利用環境

Astra を使う手段は3つあります。開発者向けにターミナルから文字で指示する Codex CLI、ChatGPT のデスクトップアプリが人の代わりに PC を操作するコンピュータ操作、そして自分のプログラムから呼ぶ API です。今回は Codex CLI とコンピュータ操作を使いました。コンピュータ操作も内部では Codex と同じ仕組みで動くため、どちらも API の利用料として請求されます。

本記事の費用は、Codex の作業記録に残るトークン数に上の単価を掛けて出した値です。円換算は1ドル150円です。

事例1 スライド作成

最初に試したのはスライド作成です。Astra については、手順書(スキル)は短いほうがよく、細かすぎる指示はかえって結果を悪くすることがある、と OpenAI の開発者が9月11日のブログで書いています。これを受けて、ProFab が普段使っている手順書と、それを軽くした手順書の2つを用意し、同じ内容でスライドを作らせて比べました。

検証タスク

作らせたのは、AI の開発速度を意図的に抑えるべきだという「減速(ペーシング)」論の解説スライドです。表紙1枚と本文5枚。テーマやリサーチの内容は、今回は純粋に資料作成の能力を測るため、事前に用意しました。

ProFab のスライドは、部品の使い方を定めた文書(フォーマット定義)と、部品の実体であるテンプレートの2つを土台にしています。手順書はその使い方を書いたもので、今回は2種類を用意しました。1つ目は普段使っている87行の手順書で、以下「通常版」と呼びます。いきなりスライドを作らずに目的と構成を人と合意する進め方、部品の選び方、ProFab が別に持っているスライド自動生成プログラムの使い方、品質検査の落とし穴、実在の人物の経歴を創作しないといった注意まで書いてあります。2つ目はそこから手順の文章を削って本文5行にしたもので、以下「ライト版」と呼びます。残したのは、フォーマット定義を最初に読む、テンプレートのページを複製して使う、原稿は Markdown で書く、品質検査のコマンドを通す、PDF にして全ページを目で確かめる、の5つです。フォーマット定義、テンプレート、品質検査、禁止語リストはどちらも同じものを参照します。違いは手順書の文章だけです。

アウトプット

通常版は9枚、ライト版は7枚のスライドになりました。依頼どおりの枚数はライト版で、通常版は目次と章扉を足しています。本文5枚の作りに差が出ました。通常版は5枚とも「左にラベル、右に本文」という同じ部品の繰り返しです。

通常版のスライド全9枚。本文5枚はすべて同じ部品
通常版のスライド全9枚。本文5枚はすべて同じ部品

ライト版は5枚とも別の部品で、うち3枚はテンプレートの表を使い、素材の図を1枚そのまま採用して欄外に出典を書いています。

ライト版のスライド全7枚。本文5枚はすべて別の部品
ライト版のスライド全7枚。本文5枚はすべて別の部品

Astra のアウトプットの背景について、なぜこの作業になったのかを作業記録から考えていくと、次のことが分かります。通常版の手順書には、ProFab が別に持っているスライド自動生成プログラムの使い方が書いてあり、Astra はそれを呼び出して本文5枚を同じ形で出力しました。ライト版にはその案内が無いので、テンプレートを自分で見て、内容に合う部品を1枚ずつ選ぶしかありませんでした。手順書に楽な方法が書いてあれば、Astra はそれを選びます。中身の正確さもライト版が上で、通常版は素材にない数字や判断を4か所に書いていました。

パフォーマンス

時間と費用は、ライト版が通常版の3.5分の1でした。入出力のデータ量は5分の1です。

通常版ライト版
時間21分6分
費用19.62ドル(2,942円)5.61ドル(842円)
入出力のデータ量1,389万トークン267万トークン

差が出た理由は2つあると見ています。1つは入力データ量そのもので、通常版は87行の手順書に加えて、そこから参照される文書を何度も読み込んでいます。もう1つは自動生成プログラムの実行で、プログラムを動かして出力を確認する往復が増えました。ライト版は入力データ量が少なく、テンプレートを複製して中身を流し込む一本道で終わっています。手順書が長いほど時間と費用が増えるのは、入力データ量と、そこに書かれた道具の分だけ作業が増えるからです。

事例2 アプリケーション開発(Dify の画面を再現)

2つ目はアプリケーション開発です。コーディングタスクは Astra が得意とされている分野なので、ここでは画面のスクリーンショットだけを見せて、人が指示を足さずにどこまで作れるかを確かめました。

検証タスク

作らせたのは、Dify のように、AI の処理の流れを画面上で線をつないで組み立てるアプリケーションです。Dify は ProFab も導入支援で扱っているツールで、目標にしたのは次の画面です。

模倣の対象にした Dify の編集画面。ユーザー入力、LLM、回答の3つの箱を線でつないだ状態(出典: Dify のクラウド版、2026-09-13 取得)
模倣の対象にした Dify の編集画面。ユーザー入力、LLM、回答の3つの箱を線でつないだ状態(出典: Dify のクラウド版、2026-09-13 取得)

材料はこの画面を含むスクリーンショット5枚と、公式ドキュメントの URL 3本だけです。Dify のプログラムそのものを見ることは禁じました。公開されている部品は使ってよく、作業は3つの区切り(箱と線を置く、設定画面を作る、実行する)に分け、区切りごとに止まらず進めるよう依頼文に書いています。

アウトプット

30分後にできたのが次の画面です。Dify と同じ3つの箱が線でつながり、左のメニュー、上のボタン、箱の中の表示まで元の画面に沿っています。箱の追加や保存も動きます。

Astra が作ったアプリ。Dify と同じ3つの箱を線でつないだ状態
Astra が作ったアプリ。Dify と同じ3つの箱を線でつないだ状態

見た目だけではありません。右のプレビュー欄に「日本の首都は」と送ると、3つの箱が順に処理され、実際に AI を呼んで「日本の首都は東京です」と返ってきます。各箱の処理時間と使ったトークン数まで表示されるところも、Dify の実行画面と同じ作りです。

同じアプリで「日本の首都は」と送った実行結果。3つの箱が順に処理され、回答が返っている
同じアプリで「日本の首都は」と送った実行結果。3つの箱が順に処理され、回答が返っている

動作を自動で確かめるテストも Astra が自分で10件書き、すべて合格しています。線がつながっていない、設定が足りない、といった誤りを、料金のかかる API 呼び出しの前に止めることまで確かめていました。添えた公式ドキュメント3本は1本も開かれず、スクリーンショット5枚を最初の30秒でまとめて見て、そこから30分で完成させています。何を作るかは画像から読み取り、ドキュメントは使いませんでした。

パフォーマンス

30分で 6.38 ドルでした。人が依頼文を送ったのは最初の1回だけで、途中の指示はありません。

Dify の画面を再現
時間30分
費用6.38ドル(957円)
入出力のデータ量273万トークン

安く済んだのは、タスクがコーディングに限定されていたためだと見ています。入出力の大部分が重複する内容の読み込みで、データの再活用(キャッシュの活用)が中心になるため、最も得意とする領域の仕事が、結果として最もコストの低い仕事になりました。

事例3 3D モデリング(Blender)

3つ目は 3D モデリングです。3D 制作ソフトの Blender を Astra に操作させ、写真1枚から建物の外観を再現させました。

検証タスク

Blender は無料で使える 3D 制作ソフトで、建物や製品の立体モデルを作り、画像として出力できます。通常は人が画面上で頂点や面を動かして形を作ります。新規ファイルを開くと、立方体が1つとカメラとライトが置かれた次の画面から始まります。

Blender を新規に開いた画面。中央に立方体、左にカメラ、右上に部品の一覧が並ぶ
Blender を新規に開いた画面。中央に立方体、左にカメラ、右上に部品の一覧が並ぶ

今回はこの Blender に、AI が外部ツールを操作するための接続方式である MCP でつなぎ、Astra から直接操作させました。

添えた写真は、麻布台ヒルズのガーデンプラザ低層部の外観です。うねる屋根と斜めの格子が特徴の建物で、これを Blender で再現させました。

参考写真。麻布台ヒルズ ガーデンプラザの低層部(出典: 森ビル「麻布台ヒルズ」プロジェクトページ、2026-09-13 取得。低層部の設計は Heatherwick Studio)
参考写真。麻布台ヒルズ ガーデンプラザの低層部(出典: 森ビル「麻布台ヒルズ」プロジェクトページ、2026-09-13 取得。低層部の設計は Heatherwick Studio)

依頼文に書いたのは3つです。屋根は曲面で作ること、建物どうしをめり込ませないこと、参考写真と同じ視点にカメラを合わせること。新規ファイルの初期設定も人手で用意せず、Astra にやらせています。

アウトプット

9分後に出てきたのが次の画像です。

Astra が作った 3D モデルのレンダ画像。うねる屋根、格子フレーム、屋上の植栽、背後のタワーが再現されている
Astra が作った 3D モデルのレンダ画像。うねる屋根、格子フレーム、屋上の植栽、背後のタワーが再現されている

写真の特徴だったうねる屋根、斜めの格子フレーム、屋上の植栽、背後のタワーは再現されています。屋根は一枚の滑らかな曲面として作られ、厚みも付いています。一方で、写真と同じ視点にはならず、カメラは遠く高い位置に置かれました。

Blender 上ではこう表示されています。右の一覧に建物や背景のタワーの部品が並び、中央の作業画面で形を確認できます。人が作ったモデルと同じように、個別の要素を選択・編集することで、ここから手で直すこともできます。

Blender の作業画面。Astra が作ったモデルが表示され、右に部品の一覧が並ぶ
Blender の作業画面。Astra が作ったモデルが表示され、右に部品の一覧が並ぶ

パフォーマンス

9分で 3.14 ドルでした。4つの検証の中で最も安価に完了したタスクです。

建物の外観
時間9分
費用3.14ドル(470円)
入出力のデータ量116万トークン

安価に済んだ理由は、Astra が建物全体をプログラムで一括生成したことにあると見ています。MCP 経由の操作はすべて Python のプログラムの実行で、画面を見ながら部品を1つずつ動かす操作はしていません。形を計算で決めて一度に作るので、入出力のデータ量も少なく済みました。人が画面上で形を作る仕事も、Astra にとってはコーディングタスクと同じものとして処理できました。

事例4 サイト制作(画面操作で STUDIO)

最後はサイト制作です。Astra の目玉とされているコンピュータ操作を試すために、ブラウザ上で動くノーコードのサイト制作ツール STUDIO を選びました。プログラムを書かずに画面を操作させたとき、時間と費用がどうなるかを見ています。

検証タスク

STUDIO は、ボックスや文字や画像のブロックを画面上に置いていき、コードを書かずにサイトを作るツールです。左に部品の一覧、中央に編集中のページが表示され、人はマウスで部品を並べます。

STUDIO の編集画面。左にセクション、ボックス、画像、テキストなどの部品が並び、中央の白い領域に置いていく
STUDIO の編集画面。左にセクション、ボックス、画像、テキストなどの部品が並び、中央の白い領域に置いていく

この STUDIO で、Apple の iPhone Duo の製品ページを再現させました。お手本にしたのは次のページです。

お手本にした Apple の iPhone Duo 製品ページの冒頭(出典: Apple「iPhone Duo」、2026-09-14 取得)
お手本にした Apple の iPhone Duo 製品ページの冒頭(出典: Apple「iPhone Duo」、2026-09-14 取得)

環境は ChatGPT デスクトップアプリのコンピュータ操作で、Astra がブラウザを直接操作します。お手本の画像と文言はそのまま使わず、製品名は「Duo(仮)」に置き換え、公開はしない、と依頼文に書きました。

アウトプット

Astra は ChatGPT の画面に作業の経過を書きながら、ブラウザ上の STUDIO を操作していきます。人がやるのと同じように、セクションを置き、その中に見出しや本文のテキスト、画像用のボックスを1つずつ並べていきます。編集画面の部品一覧には「01 ヒーロー」「02 ハイライト」と番号付きの名前が付き、それぞれの中にテキストとボックスが入っています。

STUDIO の編集画面。左の部品一覧に「01 ヒーロー」「02 ハイライト」のセクションが並び、中にテキストとボックスの部品が入っている
STUDIO の編集画面。左の部品一覧に「01 ヒーロー」「02 ハイライト」のセクションが並び、中にテキストとボックスの部品が入っている

48分後にできたのが次のページです。STUDIO の部品だけで全23セクションが組まれ、セクションの順番と情報の構成はお手本に沿い、Apple や iPhone などの固有名詞は置き換えられていました。

できあがったページ。STUDIO の部品で組まれ、写真と見出しが配置されている
できあがったページ。STUDIO の部品で組まれ、写真と見出しが配置されている
同じページのカルーセルのセクション。左右のボタンで写真が切り替わる
同じページのカルーセルのセクション。左右のボタンで写真が切り替わる

最初に試したときには、Astra は異なる作り方を選びました。iframe というコードを埋め込むアプローチで、STUDIO の部品は土台の1つだけを置き、その中に Astra が手書きした HTML と CSS と JavaScript を貼り付けていました。ブロックを置く代わりに、コードで指定しようとしていたことになります。本番では、STUDIO の部品だけで組むよう依頼文に書き足して作り直しています。

最初の試行の編集画面。部品一覧には土台と埋め込み枠(Iframe)の2つしかなく、右側の設定欄に手書きのコードが入っている
最初の試行の編集画面。部品一覧には土台と埋め込み枠(Iframe)の2つしかなく、右側の設定欄に手書きのコードが入っている

パフォーマンス

本番は48分で 40.10 ドル、最初の試行(iframe で実施)は11分で 14.08 ドルでした。コンピュータ操作で部品を組ませたか、コードで済ませたかで、時間は4倍、費用は3倍になっています。とはいえ、本番の間、人は全くタッチしていません。

最初の試行(iframe で実施)本番
時間11分48分
費用14.08ドル(2,112円)40.10ドル(6,015円)
入出力のデータ量900万トークン2,958万トークン

コンピュータ操作の費用が上がった理由は、部品を1つ置くたびに画面を見て次の操作を決めるためです。操作の回数がそのまま入出力のデータ量と費用になります。その代わり、STUDIO のブロック単位で細かく直せる制作物ができました。コードを埋め込む作り方は操作が数回で済むぶん安く、その代わり STUDIO では編集できない物になります。

4つの事例の振り返り

4つの事例の一覧

4つの検証タスクについて、時間と費用を改めてまとめます。

事例環境時間費用出来
1 スライド作成Codex CLI6分(通常版は21分)5.61ドル(通常版は 19.62ドル)依頼どおり7枚、素材との食い違いなし
2 アプリケーション開発Codex CLI30分6.38ドル3区切り到達、テスト10件合格
3 3D モデリングCodex CLI と MCP9分3.14ドル特徴を再現、視点は不一致
4 サイト制作コンピュータ操作48分(最初の試行は11分)40.10ドル(最初の試行は 14.08ドル)23セクション、動きは2つ

特に費用へ影響したのは、依頼の仕方ではなく、環境の違いでした。Codex CLI でコーディングとして進めた3つは合計 15.13 ドル、コンピュータ操作で画面を操作させた事例4は 40.10 ドルです。画面を操作させたときだけ、費用の桁が変わっています。題材も難しさも違うので、横に並べた数字は目安として見てください。

性能差の背景

4つの事例を性能、処理時間、コストの観点から振り返ると、差を生んだ要因は大きく3つです。

1つ目は手順書(スキル)の長さです。Astra は手順書に書いてある方法をそのまま使うので、手順書が親切なほど、そこに書かれた道具や手順の分だけ作業が増えます。事例1(スライド作成)では、87行の通常版に自動生成プログラムの案内があり、Astra はそれを呼び出して、5枚とも同じレイアウトのスライドを出力しました。5行のライト版にはその案内が無く、テンプレートを自分で見てページごとにレイアウトを選んでいます。結果として、時間と費用は3.5分の1、入出力のデータ量は5分の1になり、素材との食い違いも4件から0件に減りました。

2つ目は正解データの形式です。Astra は文章のドキュメントより画像から仕様を読み取ります。事例2(アプリケーション開発)では公式ドキュメント3本を1本も開かず、スクリーンショット5枚を最初の30秒で見て、30分で完成させました。事例1(スライド作成)のライト版も、テンプレートの一覧画像1枚でレイアウトを選んでいます。画像を1枚添えるだけで、指示を足さなくても目標物に沿った出来になり、時間も短くなりました。

3つ目は環境の違いで、コーディングとして進めるか、コンピュータ操作として進めるかです。コーディングとして進めると、Astra は形を計算で決めて一度に出力します。事例3(3D モデリング)では建物全体をプログラムで一括生成し、9分で終わりました。コンピュータ操作として進めると、部品を1つ置くたびに画面を見て次の操作を決めるので、操作の回数がそのまま入出力のデータ量になり、コストが増えています。事例4(サイト制作)では、iframe で済ませた最初の試行と比べて、時間は4倍、費用は3倍でした。

この3つ目の要因からは、タスクを人と AI のどちらに頼むかについての示唆が導けます。今回の事例、とりわけ STUDIO について言うと、1ページあたり約6,000円という金額は、人がやる場合と比べてもそれほど安くありません。時給5,000円の人が同じ物を作る時間を推定して並べると、コーディングで済む3つは人の2桁下、事例4は1桁下にとどまります。しかも出来は同等ではなく、動きは2つだけで、同等まで仕上げる手直しの時間は含んでいません。フルで任せたことを考えると、人に任せるより高くなる可能性があります。一般論として、AI は人より単価を安く抑えられるので人を代替する、という話がありますが、コンピュータ操作についてはその逆の可能性も、今回見えたのではないかと思います。

まとめ

Astra に4つの仕事をさせてみて、「高い」という評判は半分当たっていました。物によっては高い、というのが今回の結論です。コーディングとして進められる仕事は、スライド作成、アプリケーション開発、3D モデリングのどれも1件数百円で、人に頼む場合と比べて桁が2つ違います。一方で、コンピュータ操作で画面を操作させる仕事は費用が1桁上がり、任せ方によっては人に頼むより高くつく可能性があります。

これまでの Fable を含めたフラッグシップモデルもそうですが、使えるタスクの広さと、コンピュータ操作の質と速さには定評があるモデルです。どこまで AI でやり切れるかを掴む意味でも、検証する価値があると考えています。

ProFab では、こうした最先端の AI を活用した社内導入や開発を支援しています。自社の仕事で試したい方は、お問い合わせからご連絡ください。

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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