GeminiとCopilotの比較!搭載モデルの違いと強み・弱みの比較

生成AIとは、人間の言葉を理解し、自然な文章を生成できる人工知能の一種です。業務の効率化や情報収集、創造的な作業支援など、さまざまな場面で活用されるようになっています。

なかでもMicrosoftのCopilotとGoogleのGeminiは検索や文書作成、データ分析などの目的に応じて使い分けられる代表的なツールです。提供元や搭載モデルの違いだけでなく、操作性や生成能力、連携できるグループウェアなどに違いがあり、それぞれに強みと弱みがあります。どちらを選ぶかは、日常的に使用している業務アプリケーションや目的によって異なります。日々の業務の中でどのような役割を期待するかによって、最適な生成AIの選択が変わります。

企業版生成AI導入アプローチ
目次

CopilotとGemini

生成AIは文章生成や要約、情報検索、タスク支援など、多岐にわたる用途で活用が進んでいます。なかでも、Google GeminiとMicrosoft Copilotは、業務や日常生活に密着した代表的な生成AIとして注目されています。両者はそれぞれの強みを持ちながら、提供元の技術基盤や連携できるサービスに違いがあります。

CopilotGemini
開発元MicrosoftGoogle
特長GPT-4を活用、Microsoft製品との統合、WindowsやOfficeと連携した業務支援に強み複数のデータ形式を同時に処理可能、高度な推論力、Google検索と連携

Microsoft Copilot(旧Bing Chat)

Copilotは、Microsoftが提供する生成AIで、GPT-4やDALL-E 3といったOpenAIの技術を基盤としています。ブラウザ上での利用に加え、WindowsやMicrosoft 365と統合されていることが大きな特長です。

Copilot for Microsoft 365では、WordやExcel、PowerPoint、Outlook、Teamsなどのアプリケーションと連携し、文書の下書き、スライド作成、表の生成、メール要約、会議の記録などを自動化します。

Copilot in Windowsは、AI専用プロセッサー(NPU)を搭載したパソコンに対応しており、ローカル環境での高速なAI処理が可能です。また、GitHub Copilotはプログラマー向けの支援ツールとして、コード補完、生成、レビューの機能を提供しており、開発作業の効率化に貢献します。

Copilotはユーザーの過去の操作パターンを学習し、文脈に沿った適切な支援を行う点が特長です。Microsoftの幅広い製品群とシームレスに連携して動作するため、既存の業務環境に自然に組み込むことができます。

Google Gemini(Google Bard)

Geminiは、Googleが開発した生成AIで、文章、画像、音声、動画を同時に処理できるマルチモーダルな機能を備えています。Gemini Ultraは、高度な推論能力や知識処理能力を持ち、複雑な問題に対して専門家を上回る性能を示しています。AIに不慣れなユーザーから専門職まで、幅広い層が対象です。

Google Workspaceとの親和性が高く、Gmail、Googleドキュメント、スプレッドシートなどのサービスと連携して使用できます。たとえば、メール文の下書き、文書の要約、表の自動生成といった作業を支援します。Gemini Advanced(有料版)では、Googleマップ、YouTube、フライト検索などとも統合されており、検索や情報取得をさらに効率化できます。

また、Androidスマートフォンでは音声アシスタントとしても活用されており、呼びかけるだけで起動し、自然な対話で情報を提供します。Googleアシスタントの後継として、より高度な応答を実現しています。

Geminiの活用例としては、アイデアの創出支援、専門文書の要約、チーム内の情報共有、ウェブからの情報抽出、マーケティングコンテンツの作成、外出時のルート提案、受信メールの要約、コードの自動生成とレビューなどが挙げられます。

Googleの検索技術と連携することで、幅広い情報に即座にアクセスできる点も大きな強みです。Google製品を日常的に利用しているユーザーにとっては、親和性の高いAIアシスタントとして役立ちます。

CopilotとGeminiの比較

CopilotとGeminiは、それぞれGoogleとMicrosoftが開発した生成AIです。いずれも高度な自然言語処理をベースに、業務効率化や情報収集を支援するAIアシスタントとして活用されています。両者には、搭載モデルや操作性、テキスト生成能力、コンテキスト処理性能、グループウェア連携などの点で違いがあり、利用する環境や目的によって適した選択が求められます。

以下では、主要な6項目について比較を行い、それぞれの強みを明確にします。

搭載モデルの違い

CopilotはOpenAIのGPT-4をベースに構築されており、GPT-4 Turboによって128,000トークンの入力に対応します。マルチモーダル処理やコスト面での利点もあり、Microsoft 365との連携により、文書作成、分析、管理業務を支援します。

GeminiはGoogleが開発したマルチモーダル生成AIであり、GeminiとGemini Advancedという種類があります。内部には1.5 Flashモデルを搭載し、テキストや画像といった異なるモダリティのデータを高速かつ高精度に処理できます。応答速度や情報の正確性に優れ、Google Workspaceとの高い親和性を備えています。

CopilotGemini
開発元Microsoft(GPTを採用)Google
使用モデルGPT-4 / GPT-4 TurboGemini 1.5 Flash / Pro / Ultra
モダリティ対応テキスト、画像(DALL-E)テキスト、画像、音声、動画など
特徴入力長の柔軟性、高い汎用性とコスト効率マルチモーダル処理、高速応答、高精度
主な連携先Microsoft 365製品Google Workspace

操作性とユーザー体験の違い

CopilotはMicrosoft 365に組み込まれ、WordやExcel、Teamsなどのアプリ上でそのまま利用できます。業務アプリに慣れたユーザーにとっては自然に使えるインターフェースであり、文書作成やデータ処理の操作性に優れています。

GeminiはWebブラウザやGoogleの各種サービスに統合され、検索や文書編集の途中でもスムーズに呼び出せます。特に日常的な情報探索やアイデア出しといった場面での使いやすさが際立っています。

CopilotGemini
利用環境Microsoft 365製品(Word、Excel、Teamsなど)Webブラウザ、Android端末、Googleサービス
操作方法アプリケーション上でシームレスに統合操作可能自然言語入力に即応、検索・作業中に呼び出し可能
対象ユーザー業務アプリを日常的に使用するビジネスユーザー情報探索やアイデア創出を行う一般ユーザー
操作設計業務タスクに特化したUI設計Web中心の自然な流れで使用可能

テキスト生成における特徴

Copilotは業務に即した文書生成やデータ分析に対応しており、複雑な文書フォーマットや専門用語を含む文章でも高い精度で出力できます。プレゼン資料やレポート、業務メールの自動化において実用的な支援が得られます。

Geminiはストーリーテリングに適した自然な文章を生成することに長けており、ユーザーの疑問に対する会話形式の応答や、印象に残るコンテンツの作成に強みがあります。

CopilotGemini
得意分野業務文書、レポート、ビジネスメールの自動化ストーリーテリング、会話形式、クリエイティブ用途
自然言語応答明確で論理的な構成が中心会話調で親しみやすく柔軟
ユースケースプレゼン資料、要約、定型文の作成アイデア創出、物語構築、日常会話
カスタマイズ性フォーマットや用語の適応に強み自由な対話スタイル重視

コンテキストウィンドウ

Copilotも高度な文脈処理を行いますが、Microsoft 365での日常的な業務用途に最適化されています。特にドキュメント作成やデータ分析など、限られたコンテキストでも正確なアウトプットが求められる業務に適しています。

Gemini 1.5 Flashは最大100万トークン、Gemini 1.5 Proでは最大200万トークンの入力に対応しています。大規模な文書や長い対話文でも高精度に処理可能です。ただし、処理できるトークン数には実行時の条件によって制限があります。

CopilotGemini
最大トークン数GPT-4 Turbo:128,000トークンGemini 1.5 Pro:200万トークン
長文処理能力業務文書中心で実用性重視極めて高く、長大な対話や文書に対応
計算効率制限内での安定した性能処理スピードと精度を両立
対応範囲ビジネス用途に最適化された処理能力研究、分析、創作など幅広く対応

※コンテキストウィンドウ:モデルが一度に処理できるトークン数のこと

グループウェアとの連携性

CopilotはMicrosoft 365の個人向けプランには標準搭載されており、ビジネス用途では追加ライセンスが必要です。WordやExcel、Teamsにシームレスに統合されているため、会議の要約、資料作成、業務データの分析など幅広く活用できます。

Geminiは2025年1月にGoogle Workspaceへの標準搭載が発表されました。GmailやGoogleドキュメント、スプレッドシートなどの主要サービスから直接起動でき、業務に必要な情報整理やチーム内コラボレーションの効率化を支援します。

CopilotGemini
標準搭載環境Microsoft 365(個人向けは標準、法人はアドオン)Google Workspace(Gmail、Docs、Sheetsなど)
連携対象Word、Excel、Teams、OutlookなどGmail、Googleドキュメント、スプレッドシートなど
導入のしやすさ法人利用では追加費用が発生標準搭載により導入が容易
活用場面会議要約、レポート作成、業務支援全般情報整理、共同編集、チーム連携

利用者層と目的別のテキスト生成機能

Copilotは業務や専門分野での活用を重視し、正確かつ論理的な文書作成に特化しています。複雑な形式や専門用語の処理に対応し、業務効率や生産性の向上に直結するアウトプットが可能です。

Geminiは日常の質問に対して自然な対話で応答し、親しみやすい文章を生成します。特にストーリー性や創造性が求められるコンテンツに強く、一般ユーザーやクリエイティブ業務に適しています。

CopilotGemini
テキスト生成能力業務文書や分析文書など、実用性の高いアウトプットを自動生成ストーリーテリングや日常的な質問に適した自然な応答を生成
主な利用者ビジネスユーザー、専門職一般ユーザー、クリエイティブ職

CopilotとGeminiの強みと弱みの比較

CopilotとGeminiはそれぞれ異なる強みを持つ生成AIです。CopilotはMicrosoft 365との連携を活かした業務支援に強く、特に文書作成や分析タスクの効率化に貢献しますが、検索性能や長文処理では制約も見られます。対してGeminiは高速な検索性と広範な情報処理に優れており、Google製品との親和性が高い一方で、業務自動化にはやや弱みがあります。

Copilotの強みと弱み

強み文書作成、データ分析、タスク管理など多機能に対応
業務連携Microsoft 365アプリケーションと密接に統合、サードパーティ製ツールとも連携可能
活用場面業務支援、報告書作成、会議要約、数値分析など幅広い業務
弱み検索効率が低下しやすく、長文処理や応答速度に課題あり
適したユーザー層定型業務やビジネスプロセスを効率化したい企業・部門ユーザー

Geminiの強みと弱み

強み高速な情報検索、正確なレスポンス、200万トークンのコンテキスト処理
業務連携Google Workspaceとの親和性が高く、社内ドキュメントの活用が容易
活用場面情報収集、大規模コンテンツ生成、長文の文脈処理
弱み業務自動化や専門的な分析タスクには対応が限定的
適したユーザー層情報探索やアイデア創出を重視する業務に従事する個人・チーム

GeminiとCopilotのどちらを使うべきか

業務環境における利用製品によって、最適な生成AIは異なります。Google Workspaceを中心に業務を行っている場合はGeminiが高い親和性を発揮し、効率的な情報収集や文書編集が可能です。一方で、Microsoft 365を業務の中核としている場合は、Copilotが各アプリケーションと連携しながら業務全体を支援します。利用環境に応じた選択が、生産性向上の鍵となります。

Office製品を日常的に使うならCopilot

MicrosoftのOffice製品を業務の中心に据えている企業やチームにはCopilotが適しています。WordやExcel、PowerPoint、Outlook、Teamsなどとシームレスに統合され、提案書や報告書の作成、長文要約、メールの自動生成、会議内容の要約といった実務作業を効率化します。複雑なデータの分析やスプレッドシートの自動操作にも対応しており、日常業務の多くを支援します。Microsoft 365の機能を活かした業務支援が求められる環境ではCopilotの導入が生産性向上に直結します。

Google Workspaceを日常的に使うならGemini

Google Workspaceを日常的に利用しているユーザーやチームにとって、Geminiは最適な選択肢です。Googleドキュメントやスプレッドシート、Gmailといった主要なツールと高い親和性を持ち、文書作成や表の自動生成、メール文の下書きなどをスムーズに支援します。高速な検索機能や自然な応答に加え、画像や音声なども処理できるマルチモーダル対応により、情報収集やアイデア創出にも効果を発揮します。音声アシスタントとしての機能も兼ね備えており、Android端末と連携することで、操作の幅も広がります。

CopilotとGeminiの最適活用のために

CopilotとGeminiは業務効率化や情報収集に大きな力を発揮する生成AIとして広く使われています。Microsoft製品に親しんでいるユーザーにとっては、Copilotの高度な連携機能が業務支援に大きく貢献します。一方で、検索性や情報処理能力を重視する場合は、Geminiのスピードと応答精度が有効です。それぞれが得意とする分野や設計思想には違いがあり、目的に応じた選択が求められます。操作性や連携機能、テキスト生成能力などの特徴を理解したうえで、自身の業務環境に合ったツールを選ぶことが重要です。

私たちは、こうした企業の Gemini 活用をサポートする生成AI導入コンサルティングを提供しており、現場ごとの目的に合わせた活用の定着と展開を支援しています。さらに、標準の Gemini 機能では対応が難しい特定の業務フローの自動化や、自社独自のデータを活用した高度な分析・意思決定支援、複数の業務システムを連携させるようなニーズに対しては、より柔軟な開発による対応が必要です。私たちは、Google Cloud の Vertex AI Agent Builder や各種 AI プラットフォームを活用し、RAG (Retrieval-Augmented Generation) 構成のチャットエージェントや部門特化型の業務支援 AI などを構築する AI 受託開発サービスも展開しています。

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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