Appleは、6月初旬に発表した「Apple Intelligence」が、デジタル市場法(DMA)の規制に対する不確実性を理由に、今年は欧州連合(EU)で利用できない可能性があると発表しました。詳細を説明します。
ニュースの要約
Appleは、6月初旬に発表したApple Intelligenceが、今年は欧州連合(EU)で利用できない可能性があると発表しました。Apple Intelligenceに加え、同時に発表したiPhoneミラーリング(画面投影機能)、SharePlay画面共有も延期の対象です。この延期は、Appleがデジタル市場法(DMA)の規制に対する不確実性を理由としています。
Apple Intelligenceは、生成AIを用いたテキスト生成および要約、精度の向上されたSiri、通知管理など多岐にわたる機能を含みます。この技術は、ユーザー体験を向上させるために設計されており、Appleは今夏にベータ版を提供すると発表していました。
Appleは、デジタル市場法(DMA:The Digital Market Act)の「相互運用要件(他のサービスとの連携がスムーズであること)」がApple製品の質とユーザーのプライバシー・セキュリティを危険にさらす可能性があると懸念しています。
DMAは、巨大なオンラインプラットフォームを制御する企業、いわゆる「ゲートキーパー」に対して、反競争的行動を防止するための厳しい要件を課す法律です。Appleは、この法律に対応することで追加的な調整が必要となり、その結果、今年中にEUで新機能を提供することが難しくなるとしています。
一方、EUのスポークスマンであるトーマス・レグニエは、「EUは4億5千万人の潜在的なユーザーを持つ魅力的な市場であり、欧州の内部市場でサービスを提供したいと考える企業には常にオープンです。ゲートキーパーは、公正な競争を確保するための我々のルールに従う限り、ヨーロッパでサービスを提供することを歓迎します。」とのコメントを残しています。
「Apple Intelligenceの導入延期」について一言
世界中のAppleユーザーの話題となった「Apple Intelligence」ですが、欧州における市場投入は一筋縄では行かないようです。Appleはこれまでも、Apple PayやApp StoreでDMAに抵触しており欧州域外の企業に対する風当たりの強さを感じます。
Apple Intelligenceは英語対応が年内で他言語対応は来年以降と発表されていますが、欧州での提供延期を受けて、日本を含めた他地域の優先順位が上がる可能性も無きにしも非ずかと思います。
出典:Apple may delay AI features in the EU because of its big tech law(The Verge)