Anthropic:APIをアップデートし、内部文章の引用元表示が可能に

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AnthropicはAIモデルClaudeがソースドキュメントに基づいて回答を生成する際、使用された具体的な文やセクションを引用できる新しいAPI機能「Citations」を発表しました。この機能により、AIによる応答の検証可能性が向上し、透明性と信頼性を高めることができます。Citationsは、Anthropic APIおよびGoogle CloudのVertex AIで利用可能で、特に大規模なドキュメントを参照するユースケースでの活用が期待されています。

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API機能「Citations」の概要

API機能「Citations」はAIモデルClaudeがソースドキュメントに基づいて回答を生成する際、使用された具体的な文やセクションを引用でき、より信頼性の高い情報検索や文書作成が可能となります。AIが生成した回答が正確であることを証明するだけでなく、開発者が従来必要としていた複雑なプロンプトエンジニアリングの負担を軽減します。Citationsは、標準的なトークンベースの価格モデルを採用しているため、本アップデートによるAPIの値上げはありません。

文章の要約(長いケースファイルや技術文書を簡潔に要約し、各主要ポイントを元のソースにリンク)、複雑なQ&A(財務諸表や技術資料などの大量の文書全体にわたるユーザーの質問に対し、詳細かつ正確な回答を提供)、顧客サポート(複数の製品マニュアルやFAQ、サポートチケットを参照し、正確な情報源を引用)といったユースケースが想定されます。

Citations機能は、「ドキュメントのチャンク化」、「モデルへのクエリ連携」、「引用の生成」のステップで処理が進みます。「ドキュメントのチャンク化」ではユーザーが提供するソースドキュメント(PDFやテキストファイル)を文章単位に分割して処理します。「モデルへのクエリ連携」では チャンク化された文章とコンテキストが、ユーザーのクエリとともにモデルに渡されます。「引用の生成」ではClaudeがクエリの内容を分析し、提供されたソースドキュメントの中から関連するセクションを引用として回答に含めます。

「Citations」について一言

今回のアップデートは、API機能に焦点を当てた開発者向けの内容です。この新機能により、構築されたアプリケーションが参照元の内部リソース情報を明確にリンクできるようになります。たとえば、トムソン・ロイターが開発した弁護士向けチャットツールでは、法的な根拠を提示する際に利用されています。

例示されているように会計や法務といった厳密性が求められる業界における検索精度向上、信頼性確保につながる技術として期待されるものと思いますが、かゆいところに手が届くかなりニッチなアップデートでもあります。

出所:Introducing Citations on the Anthropic API

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

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