生成AI技術の急速な発展に伴う著作権の課題に対応するため、文化庁は新たに「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」を発表しました。このガイドラインは、AI開発者から一般利用者まで、幅広いステークホルダーに向けた実践的なアドバイスを提供し、生成AIをきっかけに発生する著作権のリスクを軽減することを目的としています。文化庁、内閣府、総務省がそれぞれ発表したガイドラインを統合し、具体的な対策を示す内容となっています。
AIと著作権に関する新ガイドライン発表
生成AI技術の急速な発展に伴う著作権の課題に対応するため、文化庁は「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」を発表しました。
生成AIをきっかけとしたガイドラインは文化庁、内閣府、総務省がそれぞれ発表していますが、このガイドラインは生成AIに関係する当事者の視点でこれらのガイドラインを統合しています。AI開発者から一般利用者まで、幅広いステークホルダーに向けた実践的なアドバイスを提供しています。
ガイドラインの全体構成
このガイドラインは、「第1部 AI開発・提供・利用のチェックリスト」と「第2部 権利者のためのガイダンス」の2部構成となっています。
第1部では、AI開発者、AI提供者、AI利用者(業務/一般)それぞれに向けたAI活用におけるリスク低減方策を整理しています。
第2部では、著作権者が自身の作品をAIによる利用から保護するための方策や、AI生成物に対する著作権侵害への対応方法が示されています。
AI利用者(業務利用者)が特に注意すべきポイント
多くの方に関係する「AI利用者」のセクションでは、生成AI・ツールに関する理解、社内規程の作成、既存創作物との類似性確認などに関する要求が記載されています。
特に興味深いところで言うと、「入力した既存の著作物と類似する生成物を生成させるといった目的で入力を行う場合は、『享受』目的が併存している場合に当たるとして、同条が適用されない場合があります」と述べられています。既存の創作物を模倣する旨のプロンプトで画像生成することは避けたほうが良い旨示されています。
また、「依拠性がないことを説明できるよう、生成に用いたプロンプト等、生成物の生成過程を確認可能な状態にしておくよう努める」と言う箇所については、プロンプトを残しておく必要があると言うことで、実務的に難しいと感じています。
「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」について一言
まず、AIに関するガイドラインが文化庁、内閣府、総務省それぞれから類似の内容で発表されていたので、統合されたものができ、見るべきものが明確になったことは良かったです。
著作権については類似性や依拠性などアウトプットだけでは判断が難しい要素があるので、「画像生成において特定の既存作品を模倣するプロンプトを使わない」といった具体的なNGが明示されたことは、ルール形成において前進だと思います。まだグレーゾーンも多いので、引き続きウォッチが必要です。