Perplexity Labs登場:10 分でリサーチ・資料作成・ミニアプリまで自動化する“AI作業チーム”

Perplexity は 2025 年 5 月 29 日、プロユーザー向けの新機能「Perplexity Labs」を正式にリリースしました。これまでの Search が「すぐに答えを得る」ためのモード、Research(旧 Deep Research)が「数分で深掘りした分析を得る」ためのモードだったのに対し、Labs は調査、コード実行、資料作成、簡易 Web アプリ生成といった複合タスクをおよそ 10 分で完結させる“仮想プロジェクトチーム”として機能します。

目次

Perplexity Labsとは

Labs が備える特長は大きく5つあります。1つ目に、Web 横断リサーチからデータ収集、要約、文章化、図表作成までをワンフローで自律実行し、従来は数日かかっていた作業を10分の1以下に短縮できる点です。

2つ目に、Python などのコードを自動生成して実行し、データの整形や数式適用、グラフ化、CSV 出力まで完了させるため、非エンジニアでも高度な集計や可視化が可能になります。

3つ目に、作業過程で生成されたチャート・画像・CSV・コードファイルが「Assets」タブに体系的に保存されるため、成果物の再利用や前提データの検証が容易なことです。

4つ目に、「App」タブ上でダッシュボードやスライドショーなどの簡易 Web アプリを即時デプロイできるため、外部サーバを用意せずに共有コンテンツを公開できます。5つ目に、Labs は Pro プラン限定の機能として提供され、Web と iOS/Android で利用でき(Mac と Windows アプリは追って対応予定)、入力欄のモードセレクタで「Labs」を選ぶだけで起動できます。

このように、Search が秒単位でシンプルな回答を返し、Research がおおむね 3〜4 分で引用付きの長文レポートを提示するのに対し、Labs は 10 分以上をかけてレポート、スプレッドシート、図表、そして Web アプリまでまとめて作成します。すなわち Labs は Research の単なる上位互換ではなく、「具体的なアウトプットをまとめて仕上げる」ことに特化した独立モードと言えます。

実例:2つのケーススタディ

まず、農業関連の新規ビジネスについて、数行の事業コンセプトだけを入力し、事業計画書の作成を依頼しました。Labs はエグゼクティブサマリーから始まり、市場規模と成長率シナリオ、ターゲットセグメント分析、5年間の売上・利益予測を含む財務モデルまでを自動生成し、予測値は棒グラフと折れ線グラフで可視化されました。文字化けは一切なく、タスクログには API 呼び出しや参照 URL が時系列で保存され、Assets タブには計算用 CSV と生成コードが残るため、前提データの検証や数式の修正が極めて容易でした。

レポート原本はこちら:https://www.perplexity.ai/search/ci-nonei-rong-teshi-ye-ji-hua-wUCZUmUsQdWjJFBlIij8Ag?0=a

生成されたグラフ
レポート内のアセットは保存される

次に、組織のブランドコンセプトを策定するために、国内外十社のブランドアセットを調査するタスクを依頼しました。Labs は各社のロゴ、カラーパレット、タイポグラフィ、主要ビジュアルをリンク付き画像として収集し、それらをカード形式で整理したうえで、視覚的一貫性や差別化ポイントに関する簡潔な解説を添えて PDF 形式のレポートを生成しました。画像の出典 URL やスクレイピングに用いたコードは Assets タブに保存されており、著作権や出典を確認するプロセスが非常にスムーズです。

レポート原本はこちら:https://www.perplexity.ai/search/zu-zhi-nomvvwoce-ding-suruniat-HQz9ruRuQjSBAdFvIUsUQw?0=t

ブランドアセットの統計、具体例がまとめられる
処理プロセス(ソース、コード)も記録される

「Perplexity Labs」について一言

複数ステップにわたる調査や資料作成を自律的に実行し、ビジュアルも含めた成果物をまとめて出力できるツールは、Genspark、Manus、Claude(Artifact)などの登場によってにわかに活況を呈しています。その中で Perplexity Labs は、検索で取得した画像や分析結果、さらには分析に用いたコードまでをアセットとして一括保存し、後からプロセスを振り返りやすい点で際立っています。事業計画の策定や事例調査など、マネージャー層が担う「考えて作る」タスクには有用性が高い一方、反復的で定型化された処理に主眼を置くユーザーには必ずしも最適ではないというのが現時点での率直な印象です。

出所:Introducing Perplexity Labs

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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