製造業の営業案件スクリーニングエンジン

製造業
データ分析

製造業の営業案件スクリーニングエンジン

営業案件判断エンジンにより、自動的に一定確度の営業案件を取得

お客様のプロフィール


売上高数1,000億円規模の製造業。民間や公共の建築資材を販売する営業部門。民間・公共の建築需要はプレスリリースやポータルサイトをウォッチすることで早期検知可能だが、リソース制約ゆえに着手できておらず。

導入前の課題


限られた時間でのリサーチ対応

営業担当 1 人あたりの可処分時間が限られており、ニュース確認や周辺情報の深掘りに十分な時間を割けない状況だった。

膨大な情報量による機会の取りこぼし

業界紙・公報・IR など、毎日 100 本規模の記事を人力で選別するのは現実的ではなく、有望案件を見逃すリスクが高かった。

属人的な判定ノウハウの散逸

「どの言葉が出たらアプローチすべきか」という情報は暗黙知で、標準化されていないため、判断基準が揺らいでいた。

データドリブン営業体制への未整備

営業DXは課題となっていたが、勘と経験に依存したオペレーションから脱却できていなかった。

当社の提案したソリューション


外部ポータルからニュースをスクレイピングし、Perplexity で補足情報を取得。ビジネス特性と社内ナレッジ(判定基準)を掛け合わせて営業案件化の確率を算出するエンジンを構築。情報収集 → ナレッジ補強 → 確率判定 → 配信 の全工程をワンストップで自動化。

周辺領域も含めた要件定義

営業フェーズ全体(リード獲得〜アフターサポート)をマッピング。「スクリーニングエンジンが担う範囲」を明確化するとともに、AIの活用余地を(通知、CRM 連携、レポート自動生成など)洗い出した。

モデル & プロンプトを多角的に試行

Llama-3・GPT-4・Sonar 系モデルを組み合わせ、Prompt/RAG 有無・ナレッジ挿入の有無など 10 + パターン を作成。Google Apps Script (GAS) + スプレッドシートで AB テスト基盤を構築し、数百件の検証を繰り返した。

統計的な評価と示唆整理

出力結果(営業案件確立xx%)を二値分類のタスクとして集計。混同行行列で分析し(Accuracy、Precision、Recall、F1)、モデル差・プロンプト差を定量比較。

ユニットの疎通テスト

Excel を UI にした PoC、AWS Lambda 環境 … など、想定される実行環境ごとに ユニットテストを実施。エンドツーエンドの疎通(入力→確率返却)を自動で検証し、デプロイ時のトラブルを最小化。

技術仕様


システム構成

  • Difyワークフロー
  • Azure OpenAI Service(GPT-4、text-embedding-3-large)
  • Perplecxity(sonar、sonar-pro)
  • 独自ナレッジ

システム性能

  • 応答速度:3秒以内
  • Accuract:86%
  • Precision:88%
  • Recall:74%
  • F1:86%

導⼊プロセスとスケジュール


2025年1月前半〜

要件定義・疎通テスト

周辺業務も含めた要件定義、Dify、Excel、AWS間のユニット疎通テストを実施。

2025年1月後半〜

初期検証を実施

5パターンほどのアーキテクト(モデル、プロンプトなど)をもとに、Google Apps Scriptを用いた100問ずつのテストを実施。モデルの違いや複数回実施に伴うばらつきについて検証。

2025年2月後半〜

追加検証を実施

さらに5パターンほどのアーキテクを用意し、同じく検証を実施。判断基準となるナレッジを加えたバージョンも含めた。混同行列による統計的な評価結果も用意し、有望アーキテクトを決定。

2025年3月後半〜

プロトタイプのリリースと本開発の設計

本番環境でのデプロイに向けた全体アーキテクトを設計。

成果と導⼊効果

未開拓リードの獲得

“埋もれていたニュース”からも営業機会を検知できるよう。従来チャネルでは届かなかった潜在顧客へのアプローチが可能に。

スクリーニングの効率化

朝 9 時に “確度付き案件ニュース” が自動配信される仕組みを整備。担当者は受信直後に優先度を判断でき、即行動へシフト。

属人性の排除とリスク低減

各記事に 引用 URL/根拠 が必ず添付されるため、判断プロセスが透明化。一貫した基準で営業判断が行えるように。

データドリブン基盤確立への一歩

営業判断の暗黙知をエンジンに反映。また今後は判定ログを継続学習させることでエンジン精度向上に繋げることができる。

視野が広くオーナーシップもあるため、1から10まで細かく指示しなくても、気づけば成果物が出来上がっており、安心して任せられた。アーキテクチャの評価も分析的アプローチで比較・可視化していただけたので、取捨選択がしやすかった。コンサルティングと AI の知見を併せ持っている点が大きく効いている。Dify での検証だけでなく、簡易 UI 開発(今回は Excel 活用)や本開発の設計までサポートしてくれるのは大きな魅力。

DX部門担当部長

生成AIコンサルティング

生成AIツール(ChatGPT、Gemini、Microsoft Copilot など)の選定から組織浸透までをワンストップで支援。経営目標から逆算したユースケース発掘、1Dayハンズオン、PoC検証、導入後の運用定着まで伴走し、社内にAI活用カルチャーを根付かせます。

AIアプリケーション開発

ローコードの Dify や Microsoft Copilot Studio をはじめ、LangChain/Python など最適な技術スタックを組み合わせて、本番運用に耐える AI アプリを短期間で構築。複数LLM・社内データ・外部SaaS を安全に連携し、業務フローに溶け込む AI 実装を実現します。

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。