Perplexityの「Deep Research for Enterprise Data」:社内検索のデファクトスタンダードとなるか

Deep Research for Enterprise Data

Perplexityが提供する「Deep Research for Enterprise Data」は、ファイルアプリとの連携によって、企業内外の情報をリアルタイムかつシームレスに統合し、深い洞察力を伴った迅速な意思決定を可能にします。先日発表された検索エージェント「Deep Research」とファイルアプリコネクターを用いることで、深さと広さを両立させた検索システムが実現します。

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Deep Research for Enterprise Dataとは

Perplexityが提供する「Deep Research for Enterprise Data」は、自律的な情報検索機能であるDeep Research機能を内部情報に対して実現した新しい情報検索システムです。Sonnet 3.7、GPT-4o、DeepSeek R1といった最先端のAIモデルを用いて、企業内に蓄積された情報とウェブ上の情報をリアルタイムで統合するサービスです。企業ユーザーが選択したファイルやフォルダを、ファイルアプリコネクターを通じてPerplexityと連携することで、AIがこれらの情報源を横断的に検索し、即座に詳細で正確な回答を生成します。これにより、従来手作業で行っていた情報収集や分析の手間が大幅に削減され、精度の高い意思決定支援が可能になります。

検索中の動作(多段階検索を実装している)
検索中の動作(多段階検索を実装している)
検索結果(内部情報の引用元も表示される)
検索結果(内部情報の引用元も表示される)

企業が直面していた調査作業の課題として、膨大な情報の中から必要なデータを抽出するための時間や労力が挙げられます。PerplexityのDeep Researchを導入した企業では、調査に費やす時間を従業員1人あたり週に10時間以上削減したケースが報告されています。

企業データを取り扱うサービスとして、PerplexityはSOC 2に準拠したセキュリティ体制を整えています(SOC 2:米国公認会計士協会(AICPA)が開発したサイバーセキュリティ・コンプライアンス・フレームワーク)。全てのデータはエンドツーエンドの暗号化で保護され、企業側がPerplexityにアクセスを許可する範囲を自由に設定できるため、機密情報の取り扱いも安心です。さらに、30日間のバックアップ機能により、データの損失リスクを最小限に抑えることが可能です。

現在、PerplexityはSlack、Teams、Notion、Googleカレンダー、Dropbox、HubSpotといった主要な業務アプリとの連携が可能です。今後はさらにGmail、Confluence、Zendesk、Intercom、ServiceNow、GitHub、Salesforce、ClickUp、Asana、AWS S3、Google Cloud Storage、Azure Blob Storageなど、幅広いアプリケーションとの連携が予定されています。

「Deep Research for Enterprise Data」について一言

2025年2月には各社からDeep Researchが発表され外部検索の進歩が見られましたが、今回は内部情報検索に関するリリースです(厳密にはハイブリッドですが)。Perplexityは2024年10月にも一部エンタープライズプランの企業を対象に内部情報検索のサービス提供を開始したことを公表していたため、今回はDeep Search機能も付帯した内部情報検索機能の一般公開という位置付けになります。

特にファイルコネクターの機能が強力な印象です。One Drive、Google Driveとの連携ができるサービス(OpenAIやGoogle)などはありましたが、SlackやNotionなど多様なリソースへのアクセスにも柔軟に対応できることは、より多くのリソースとの接点を可能にします。また、内部情報・外部情報をハイブリッドに検索できるため、社内における検索インターフェースを一元化するポテンシャルも持ち合わせています。社内情報の検索ボット向けSaaSや開発サービス提供者にとっては、競争が激しくなるかもしれません。

出所:Conduct deep research with connected file apps

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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