OpenAIやソフトバンクグループを中心とした大規模プロジェクト「Stargate Project」が発表されました。総額5,000億ドル規模の投資が見込まれており、米国内のAIインフラ構築に費やされる予定です。ソフトバンクグループが財務管理を担当し、OpenAIが運営を担当します。その他の企業としてNVIDIA、Oracle、Microsoftなどが主要な技術パートナーとなります。AIエコシステムのデファクトともなり得る取り組みゆえに、大きな話題となっています。
Stargate Projectの概要
Stargate Projectは、ソフトバンクグループ、OpenAI、Oracle、MGXなどの企業が参加する新たなAIインフラ構築プロジェクトです。総額5,000億ドルを投資し、4年間にわたりデータセンターの構築やコンピューティングシステムの強化を目指しています。このプロジェクトは米国のAI分野でのリーダーシップ確立や米国内外での雇用創出に賄与することを目的としています。ソフトバンクグループが財務管理を担当し、OpenAIが運営を担当します。その他の企業としてNVIDIA、Oracle、Microsoftなどが主要な技術パートナーとして参画します。
Stargate Projectの中心となるのは、テキサス州を基地に構築される大規模データセンターです。初期には10棟の設備を構築し、最終的には20棟の設備へと拡大していきます。これにより、高性能なAIモデルのトレーニングが可能となります。その他、コンピューティング能力の強化や大規模な電力インフラ構築も計画されており、これにより米国のAI分野でのリーダーシップ確立が期待されます。
Stargate Projectに関する主要なやりとり
2025年1月21日、トランプ大統領はホワイトハウスで「Stargate Project」を発表しました。発表の場にはOpenAIのサム・アルトマンCEOやソフトバンクの孫正義CEO、オラクルのラリー・エリソン共同創業者らが同席し、トランプ大統領は「史上最大のAIインフラプロジェクト」と称賛しました。当初の計画では1,000億ドルの投資でしたが、トランプ大統領から2,000億ドル規模の要請があり、最終的に5,000億ドルに拡大されました。
イーロン・マスクは、資金調達の実現可能性に疑問を持ち「ソフトバンクは100億ドル以下しか確保していない」との発言を自身のSNS(旧Twitter)に投稿しました。これに対し、OpenAIのサム・アルトマンCEOは「間違いである」と反証したほか、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOも「私の800億ドルは大丈夫だ」と支持を表明するなど、業界に大きな影響を与えています。
「Stargate Project」について一言
ちょっと規模がデカすぎてもはやよく分かりません。。。日本のGDPが600兆円、日本政府の予算総額(一般会計)が115兆円なので、一業界の大型プロジェクトのStargate Project(78兆円)の異常さが分かるのではないでしょうか。
気になるのはパートナーシップで、ソフトバンクはビジョンファンドを通じて財務的支援を担当。OpenAIがLLM(大規模言語モデル)の開発をリードし、MicrosoftやOracleがアプリケーションを提供。ArmとNVIDIAが半導体技術を担うという形です。このエコシステムが今後のAI業界における競争の勝敗にどの程度影響を与えるか注目されています。ということもあり蚊帳の外となっているイーロン・マスクの発言しかり、業界がざわついているということでしょう。Microsoftは自社でLLMを開発していることからOpenAIから距離を置くという噂がありましたが、財務状況に依然課題を抱えるOpenAI(Microsoftから多額の出資を受ける)が改めてAGIの旗手であることを示す(継続的な支援を確実にするために)などの邪推もできますし、この件は色々想像できますね。本当のところは分かりませんが。。。
一点少し寂しいのはAI開発の舞台が完全にアメリカに行ってしまったように見えることです。主要な開発企業はアメリカであり、ソフトバンクはこれまでも日本企業としての動きでは全くなかったわけですが、さらにアメリカ寄りの動きになっているように見えます。日本でも勝てるAI分野を模索したいものです。
出所:Announcing The Stargate Project