GMOインターネットグループは生成AIの業務活用率を88.6%にまで引き上げました。また、一人当たりの業務削減時間は月間30時間を超え、2024年には年間150万時間以上の業務削減を実現しました。加えて、半数以上がChatGPT Searchの様なAI検索を活用していることも明らかにしました。生成AIによる業務効率化が進捗し、新たな価値創造へとシフトする局面を迎えているとのことです。
GMOの生成AI関連の取り組み概況
GMOインターネットグループは、「AIで未来を創るNo.1企業グループへ」を目指し、全従業員の業務効率化に生成AIを積極的に導入してきました。その結果、2024年末時点で活用率は88.6%に到達しました。従業員1人あたり月平均30.1時間、年間では151万時間以上の業務削減を実現し、削減された時間をより創造的な業務に充てる環境を構築しています。
グループ内では、生成AI検索の業務利用率が57.2%に上り、その中でも「天秤AI」は21.4%のシェアを獲得。特に、アイデア創出や多角的な情報収集の手段として大きな役割を果たしています。生成AI検索ツール「天秤AI byGMO」は、GMOインターネットグループが提供する無料のAI比較サービスです。このツールは、ChatGPTやClaude、GoogleのGeminiなど、最大6つの異なるAIモデルを同時に利用し、1つの質問に対する多様な回答を比較する機能を持っています。
GMOインターネットグループでは、生成AIを活用して新たな価値を生み出すことを重視しており、従業員の思い描く価値創造の理想像がいくつか挙げられています。
- 生産性向上:「労働時間を変えずに生成AIを取り入れ、生産性を大幅に向上させている人を見て、理想的な使い方だと感じました。」
- 価値創造:「生成AIを用いて業務効率を上げるだけでなく、そこから生まれたリソースで新しい価値を生み出し利益を出している人が印象的です。」
- AIの特性を最大限に活用:「『これをやるならこの生成AIサービス』と、サービスごとの得手不得手を理解し、強みを引き出して使いこなしている人がいると感じます。」
- 専門知識とAIの融合:「例えば、弁護士のように本来の知識や引き出しが豊富で、それを補強する形でAIを自分のパートナーとして活用している人が印象的です。」
- スピード感:「ChatGPTなどを使い、求める回答に最短でたどり着けるスキルを持った人が際立っています。」
「GMOの取り組み」について一言
4半期ごとの定点観測の結果が公表されました。今回からAI検索の導入概要、価値創造の理想像といった生成AI導入による「質的」な効果についての紙面が増えました。タイトルにあるように、普及の段階から、価値創出の段階へと移ったことを示唆しているのでしょう。
興味深いのは、一人当たりの業務削減時間のグラフを見ると、現時点のツール活用のようなライトな生成AI活用による効果は、一人当たり30時間(3日分)が上限であることです。導入直後の24時間から大きくは変わっておらず、限界値と見ることができそうです。ただし、生成AI活用は業務内容との相性もあるので、企業の業態×習熟度度によってポテンシャルの一人当たり削減時間は変わってくるでしょう。
AI検索については、どのエンジンが好ましいか、という議論よりは、これだけのツールを社員が利用可能となる環境を用意している、という観点の方が重要な気がします。複数のLLMが含まれている天秤AIのことも考慮すると、10程度のLLMが常時利用可能であるということになります。LLMはアップデートのペースが早いため、こうした環境づくりにより、「タイムリーなLLMへにキャッチアップ→キャッチアップすることの重要性の理解」といった正の循環が回るのだと理解しています。
出所:GMOインターネットグループ、生成AI業務活用率が88.6%に!自社提供の生成AI検索「天秤AI byGMO」の業務利用率が、「ChatGPT Search」に次ぐ利用率