Microsoftは10月21日に自律エージェントに関する取り組みの進捗を発表しました。プライベートプレビューとなっていたCopilot Studioの自律エージェントが来月からパブリックプレビューとなり多くのユーザーが自ら自律エージェントをローコードで開発できるようになります。またCRMやERPを包含するアプリケーションであるDynamics 365においてもその機能を最大化するための自律エージェントが10個リリースされ、営業や調達関連の業務を大幅に効率化する可能性があります。
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Copilot Studioで自律エージェントが利用可能に
Copilot Studioは、自律エージェントを簡単に作成・管理できる(テンプレート活用など)ローコードツールです。また、Microsoft 365 Copilotや自社データに接続することができます。このエージェントはAIを活用した新しいビジネスツールとして、個人やチーム、機能に代わって業務プロセスを実行します。来月には、この機能がパブリックプレビューとして公開され、より多くの利用者に利用可能になります。
Clifford Chance、McKinsey & Company、Pets at Home、Thomson Reutersなどの企業がすでに自律エージェントを導入し、業務の効率化を実現しています。例えば、McKinsey & Companyはクライアントのオンボーディング(入社手続き)を効率化するエージェントを導入し、リードタイムを90%、管理作業を30%削減することに成功しました。
Dynamics 365で10の自律エージェントが追加
Dynamics 365は、企業向けの包括的なビジネスアプリケーションです。顧客関係管理(CRM)と企業資源計画(ERP)の機能を統合し、クラウドベースで提供されるビジネスソリューションです。企業の規模や業種に応じて、必要なモジュールを選択し、カスタマイズすることができます。
この度、Dynamics 365で使える営業、サービス、財務、サプライチェーンチームの能力を強化する10種類の新しい自律エージェントが追加されました。例えば、「販売評価エージェント」はリードの優先順位をつけ、顧客へのアプローチをサポートします。また、「サプライヤーコミュニケーションエージェント」はサプライヤーのパフォーマンスを追跡し、問題を早期に検出して対応します。
これらのエージェントは、Microsoftのセキュリティ、プライバシー、責任あるAIの取り組みに基づいて構築されており、企業のチームや業務プロセスをサポートし、将来のビジネスの成功に貢献します。今後1年間でさらに多くのエージェントが追加されることで、Dynamics 365の価値がさらに向上することになります。
「Microsoftの自律エージェント」について一言
言語モデルを起点となったAIブームですが、上流ではGPUや電力供給が騒がれていますが、下流ではエージェント、さらには自律エージェントに関する議論が盛り上がっています。そこでは言語モデルは一つのパーツとして位置付けられています。また、自社データや既に存在する多くのアプリケーションとどのように連携し、自律的な枠組みを構築するかについても議論されています。
エージェント構築には開発型と付帯型があるように理解していますが、Copilot Studioはローコードで自ら開発する必要のある「開発型」、Dynamics 365がアプリケーションに付帯する「付帯型」と呼べる気がします。企業としては自律エージェントに取り組む際にどのようなアプローチを取るか議論が必要になると思います。