AIスピーカーとは、AIアシスタントを搭載し、音声で操作ができるスマートデバイスのことです。音楽再生や天気予報の確認、ニュースの読み上げなど、ユーザーが話しかけるだけで様々な機能を利用できるのが特徴です。スマートフォンやパソコンを使わずに音声だけで操作できるため、忙しい日常生活の中で手軽に活用できる便利なデバイスとして注目されています。また、音声認識技術と自然言語処理によって、音声を正確に理解し、様々な指示を実行します。家庭内でのスマートホーム化やオフィスでのスケジュール管理など、多岐にわたるシーンで利用され、今後さらに普及が進むことが期待されています。
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AIスピーカーとは
AIスピーカーとは、AIアシスタントを搭載し、音声操作に対応したスマートデバイスのことを指します。スマートスピーカーとも呼ばれ、音楽再生や天気予報の確認、ニュースの読み上げなど、ユーザーの音声コマンドを理解して実行する機能を持ちます。これにより、スマートフォンやパソコンを使用することなく、音声だけでさまざまな操作が可能となり、より手軽で便利なユーザー体験を提供します。
AIスピーカーの基本的な仕組みは、音声認識技術と自然言語処理に基づいています。まず、音声をテキストに変換し、そのテキストの意味をAIが解析して指示を実行します。さらに、ディープラーニングを活用することで、騒がしい環境でも正確に音声を認識できるようになっています。例えば、AIスピーカーは家庭内で音楽や照明の操作だけでなく、音声会議やスケジュール管理といったオフィスでの利用も期待されています。
常時インターネットに接続されたAIスピーカーは、ユーザーのパーソナルアシスタントとして、家庭やオフィスの様々な場面で活用が進んでおり、今後さらに需要が拡大すると見込まれています。
ただし、2023年4月時点のAIスピーカーの利用率は11.9%と低く、利用したいと考えている人も20%未満に留まっています。その主な理由としては、プライバシーやセキュリティに対する懸念が挙げられます。音声データの記録や盗聴への不安が大きく、これが利用を妨げている一因です。また、スマートスピーカーの便利さや用途が十分に認識されておらず、「わざわざ使う必要を感じない」といった意見も多く見られます。今後の普及には、リスクや機能に対する正確な知識の啓蒙が必要とされています。
AIスピーカーのメリットとデメリット
スマートスピーカーのメリットは、音声操作でハンズフリーで利用できる点にあります。忙しい時でも天気予報やニュース、アラーム設定、音楽再生などを声だけで行え、スマートデバイスと連携すれば家庭内のスマートホーム化も可能です。また、学習支援にも利用でき、効率的な生活をサポートする必須アイテムとしての価値があります。
一方で、デメリットとしてはプライバシーやセキュリティへの懸念、複雑な指示や方言が認識されにくいこと、話しかけることへの恥ずかしさなどが挙げられます。音声認識のON/OFF機能でプライバシー対策が可能ですが、技術的な改善や個人の慣れが必要な部分も多く、使いこなすためには一歩踏み出す勇気が求められるかもしれません。
AIスピーカーの種類
AIスピーカーは様々なメーカーから製品が発売されていますが、その中身のAIとしては主に3つの種類が存在します。
- Amazon Alexa
- Google Assistant
- Apple Siri
これらのAIは、特に日本語対応という点で、日本市場においても広く使われています。メーカーによってスピーカーのデザインや機能に違いはありますが、基本的にこれら3つのAIを搭載した製品が主流です。
過去には、韓国のLINEが提供していたClovaというAIも日本語に対応していましたが、このサービスは2023年3月に終了しています。そのため、現在日本語で利用可能なAIスピーカーは、実質的にAlexa、Google Assistant、Siriの3種類に限られています。
Amazon Alexa(アレクサ)
Amazon Alexaは、音声操作によるスマートアシスタントで、多彩な機能と高い拡張性が特徴です。Alexaは、主にAmazon Echoシリーズなどのデバイスを通じて利用でき、英語を含む100以上の言語に対応しています。スキルと呼ばれる追加機能により、様々なタスクをこなすことができ、特にAmazonでの音声ショッピングが充実している点が魅力です。スマートホームデバイスとの連携も可能で、家電の操作や音楽再生、スケジュール管理など、日常生活を効率化するための多機能を備えています。
Amazon AlexaはFire TVやEcho Autoなど、様々なデバイスで利用可能です。音楽の再生やニュースの読み上げ、リマインダーの設定、家電の制御といった機能は音声だけで簡単に操作できます。また、定型アクションを設定することで特定の時間やコマンドに基づいて複数のタスクを自動で実行することも可能となり、家庭内のスマートホーム化を進める上で非常に便利なツールとなっています。
機能 | 詳細 |
情報検索 | 音声でのGoogle検索や質問への回答に対応 |
スマートホームデバイス操作 | 照明、エアコンなどのスマート家電の音声操作が可能 |
音楽再生 | 音楽、ラジオ、オーディオブックの再生機能を提供 |
アラーム設定 | 音声でアラームやリマインダーを設定可能 |
スケジュール管理 | 音声でのスケジュール管理が可能 |
買い物 | Amazonでの音声ショッピングが可能 |
翻訳 | 100以上の言語に対応し、言葉の意味や翻訳を提供 |
ゲーム | スキルを利用して音声で遊べるゲームが豊富 |
ニュース・天気予報 | 音声で最新のニュースや天気予報を取得可能 |
読書 | オーディオブックの読み上げや再生が音声で操作可能 |
参考:Alexaとできること
Googleアシスタント
Googleアシスタントは、Googleが提供する音声操作によるAIアシスタントで、幅広いデバイスで利用可能です。主にGoogle Nestシリーズやスマートフォンを通じて、Google検索、音楽再生、スマートホームデバイスの操作など、日常生活をサポートします。Googleアシスタントの強みは、Google検索との高度な連携により、情報検索や質問への正確な回答を提供できる点です。さらに、Googleカレンダーやリマインダーの設定も音声で簡単に行えるため、忙しい日常でも効率的に予定管理をサポートします。
また、Googleアシスタントは、Philips Hueの照明操作やNetflixの再生など、さまざまなスマートデバイスやサービスと連携することで、生活の中での便利さをさらに拡張します。さらに、ユーザーはプライバシー設定を自由に管理でき、共有情報や履歴の削除も簡単に行えるため、安全でカスタマイズ可能な使用が可能です。
機能 | 詳細 |
情報検索 | Google検索を活用した幅広い質問や情報検索が可能 |
スマートホームデバイス操作 | 照明やエアコンなどの家電を音声で操作可能 |
音楽再生 | 音楽、YouTube、Spotifyなどの再生を音声で操作 |
アラーム設定 | アラームやリマインダーの音声設定が可能 |
スケジュール管理 | Googleカレンダーと連携し、スケジュール管理を音声でサポート |
買い物 | 音声で買い物リストの作成やショッピングが可能 |
翻訳 | 多言語対応で翻訳機能も提供 |
ゲーム | スキルを活用して音声操作のゲームが可能 |
ニュース・天気予報 | 最新ニュースや天気予報を音声で確認 |
参考:Google アシスタント – あなただけの Google
Apple Siri
SiriはAppleが提供する音声操作型AIアシスタントで、Apple製品との高度な連携が強みです。iPhone、iPad、Apple Watch、HomePod、CarPlayなど、幅広いAppleデバイスに内蔵されており、シームレスに操作が可能です。Siriは自然言語処理に優れ、情報検索やスマートホームの操作、音楽再生、メッセージ送信、ナビゲーションなど、さまざまな機能を音声だけで実行できます。また、Siriはプライバシー保護を重視しており、ユーザーの音声データはApple IDと関連付けられず、デバイス上で安全に処理されます。
Apple Intelligenceにより(Appleが開発した独自のAI機能)、Siriのパフォーマンスはさらに向上しており、パーソナルで高性能なアシスタントとしてユーザーの日常生活を支援します。特に、両手がふさがっている状況でもメッセージ送信やリマインダーの設定、車内でのナビゲーションといったタスクをスムーズにこなすことができます。家族とのコミュニケーションやスポーツの最新情報、音楽再生など、エンターテインメント面でも便利な機能が充実しています。
機能 | 詳細 |
情報検索 | 音声での質問や調べ物に対応 |
スマートホームデバイス操作 | 照明、エアコン、ドアロックなどを音声で操作可能 |
音楽再生 | お気に入りの音楽やポッドキャストを音声で再生 |
アラーム設定 | アラームやリマインダーの音声設定が可能 |
スケジュール管理 | 音声でカレンダーやスケジュール管理が可能 |
電話・メッセージ | メッセージ送信や通話の発信を音声で行える |
翻訳 | 多言語対応で翻訳機能を提供 |
リマインダー | 音声でリマインダーを設定し、通知を管理 |
ニュース・天気予報 | 最新ニュースや天気予報を音声で確認 |
ナビゲーション | CarPlayと連携し、音声で道案内やマップの操作が可能 |
AIスピーカーの選び方
搭載されたAIアシスタントの確認
AIスピーカーを選ぶ際には搭載されているAIアシスタントを確認することが大切です。日本語対応の主要なAIは、Amazon Alexa、Googleアシスタント、Apple Siriの3つです。各AIにはそれぞれの強みがあり、例えばAlexaはAmazonサービスとの連携、GoogleアシスタントはGoogleサービスとの統合に強みがあります。自分が普段使用しているデバイスやサービスに最適なものを選ぶことが重要です。
音声認識の精度
音声認識の精度は、スマートスピーカーの使い勝手に大きな影響を与えます。異なるアクセントやノイズの多い環境でも正確に認識できるかどうかを確認することが大切です。購入前にレビューやスペックをチェックし、自分の環境に合った製品を選んでください。
音楽配信サービスの種類
AIスピーカーではradikoやTuneIn、Podcastなどのサービスを利用してラジオを楽しむことができます。たとえば、radikoを使えば日本全国のラジオ局を聴くことが可能で、忙しい時にも「J-WAVEを再生して」などの音声コマンドで簡単に操作できます。無料で利用できるものの、有料会員になるとより多くの番組が楽しめるため、使い方に応じて選ぶのがポイントです。
ディスプレイの有無
ディスプレイ付きのスマートスピーカー(スマートディスプレイ)は、天気予報やレシピ、動画再生などの視覚的な情報を提供します。一方、ディスプレイのないモデルは、シンプルでコンパクトなデザインを重視するユーザーに向いています。用途に応じて、視覚的な情報が必要かどうかを考慮してください。
スピーカーの位置や向き
スピーカーの位置や向きも、音質や音声認識の効率に影響します。部屋の配置に合わせて、音を最適に広げられる製品を選ぶことが大切です。例えば、全方向に音を発するタイプのスピーカーは、壁際に置いても効果的です。
対応しているサービスや付加機能
スマートスピーカーが対応しているサービスや付加機能も重要なポイントです。スマートホームデバイスの制御やメッセージ送受信、カレンダー管理など、製品ごとに対応範囲が異なります。自分が求める機能やサービスに対応している製品を選んでください。
AIスピーカーの普及率
日本におけるAIスピーカーの普及率は、他国と比較してまだ低い水準にあります。野村総合研究所のITナビゲーター2021年版によると、2022年の日本国内の世帯普及率は16.1%に留まっています。一方、The Smart Audio Report Spring 2022によるとアメリカでは2022年時点で18歳以上の35%がスマートスピーカーを所有しており、同年の増加率も前年の32%から伸びていることがわかります。このように、日本の普及率はアメリカと比べて低いものの、上昇傾向にあることは確かです。
特にパンデミックの影響で在宅時間が増加したことが、日本国内でのAIスピーカーの需要拡大に寄与していると考えられます。2026年には日本の保有世帯数が1,544万世帯に達すると予測されており、今後も普及が進むと期待されています。
日本における普及の遅れには、プライバシーへの懸念や音声認識技術の精度不足が影響しているとされていますが、これらの課題は技術の進歩とともに改善される見通しです。アメリカほど急速ではないものの、日本においてもスマートスピーカーの普及は今後さらに進み、生活の一部として定着していくことが予想されています。
最後に
AIスピーカーは、音声で操作できるスマートデバイスとして、日常生活をより便利にするツールです。音楽再生や天気予報の確認、ニュースの読み上げといった基本機能に加え、スマートホームデバイスとの連携による家電操作など、幅広い用途に対応しています。しかし、日本における普及率は2023年時点で11.9%と低く、プライバシーやセキュリティに対する懸念が課題とされています。それでも、技術の進歩に伴い、音声認識の精度向上やリスクに対する啓蒙が進めば、日本でもさらに普及が進み、家庭やオフィスでの利用が拡大することが期待されています。