Microsoft 365 Copilot Wave 2が登場:大企業×生成AI利用のスタンダードとなるか

Copilot Wave 2

Microsoftは、次世代のAIサポートによる業務効率化を実現する「Microsoft 365 Copilot Wave 2」を発表しました。今回のアップデートでは、チーム内の知識作業における新たなデザインシステムを提案するCopilot Pages、パーソナライズされたAIエージェントであるCopilot Agent、そしてMicrosoft 365アプリの大幅な改善を含み、生成AIが日常業務の中核に据えられることが期待されています。

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目次

Copilot Wave 2の概要

Microsoft 365 Copilot Wave 2は、業務におけるAIの利用を一段と進化させるものです。特に注目すべきは「Copilot Pages」の導入です。これは、複数のユーザーがリアルタイムで共同作業できるキャンバスで、データやファイルを他のユーザーとシームレスに共有し、編集することができます。また、パーソナライズされたAIエージェントを簡単に開発できる「Copilot Agent」が強化され、Microsoft 365 Copilotの各アプリケーション(Excel、PowerPoint、Wordなど)でもAIの新機能が追加され、作業効率を劇的に向上させます

これらのリリースはWave 2の始まりに過ぎず、今後2ヶ月で更なる機能アップデートが公開される予定です。

Copilot Pagesの登場

AI時代の新たなビジネスツールとして「Copilot Pages」が発表されました。従来の生成コンテンツが一時的で膨大なデータの中に埋没していくのに対し、Copilot PagesではAIが生成したコンテンツを長期的に保存・共有できるだけでなく、リアルタイムで編集や追加が可能な、マルチプレイヤー型の永続的なキャンバスです。Copilot Pagesは、2024年9月後半に一般提供が開始される予定です。

Copilot Pages

Copilot Agentのアップデート


「Copilot Agent」は、AIによるビジネスプロセスの自動化をさらに推進するために設計されました。従来の単純なプロンプトと応答だけでなく、Copilot Agentは特定のデータやプロンプトを保存することで、特定のタスクに特化したAIエージェントを開発することができます。

さらに、開発したAIエージェントはTeamsに簡単に連携することで、Teams内で特定のトピックについて問い合わせることも可能になります。

Copilot Agent

Microsoft 365 Copilotのアップデート

Microsoft ExcelのCopilotでは、従来の数式処理に加え、Pythonとの連携により、予測分析や機械学習といった高度なデータ解析が自然言語で簡単に実行できるようになり、専門知識を持たないユーザーでも高度な分析が可能になります。

Microsoft ExcelのCopilot

PowerPointにおいては、Copilotを使用した「Narrative Builder」により、簡単なプロンプトを入力するだけで、クリエイティブなプレゼンテーションが数分で作成できるようになりました。また、企業のブランドテンプレートと連携しており、統一されたデザインでのスライド作成も簡単に行えます。

Microsoft PowerPointのCopilot

TeamsのCopilotは、会議中に行われる口頭およびチャットでの会話を自動的に整理し、重要な情報を取りこぼすことなく把握します。Outlookでは、受信トレイの管理がAIによってさらに効率化され、重要なメッセージを簡単に見つけ出すことができます。Wordでは、作業データやWebからの情報を素早く統合できるようになり、効率的な執筆作業が可能です。OneDriveのCopilotは、保存されたファイルをすばやく検索し、必要な情報を瞬時に要約・比較できる機能が追加され、作業効率を向上させます。

「Microsoft 365 Copilot Wave 2」について一言

大企業における生成AI活用の手法としては、ChatGPT Enterprise、Azure OpenAI、特化型SaaSなどがありますがスタンダードは定まっていないように思います。前述のツールは新たなインターフェースとなるため、日常業務にシームレスに繋がっておらず、結果として生成AIの普及に課題を抱えている企業が多い印象です。

Microsoft Copilotは、生成AIに関係なく、Officeとして日常業務にどっぷり、密接に繋がっていることが強みであり、AIエージェントを開発するにしてもOneDriveやSharePointでデータが蓄積されていて連携が手軽であり、また、Excel、PowerPointは大多数の方が最低限のリテラシーを持ち合わせており、生成AI機能を使うハードルは低いです。

新しい選択肢を模索するデジタルネイティブな企業と(IT産業のような)、クラシカルな企業(製造業のような)では方向性が別れる気もしますが、Microsoft Copilotがより便利になることで、大企業における生成AI活用のスタンダードへの道はより確かなものとなる気がします。

出所:Microsoft 365 Copilot Wave 2: Pages, Python in Excel, and agents

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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