もう誤字脱字に困らない!ChatGPTを用いた文章チェック法

missspelling^check

文章を書く際に誤字脱字はつきものですが、これを減らす方法があれば、もっと効率的に文章を仕上げることができます。誤字脱字確認はこれまでは人間が担っていましたが、どこまで注意したところでゼロにすることが難しかったことが現状です。

生成AIの登場により多くの誤字脱字チェックツールが販売されていますが、私は無料で使えるChatGPTで十分だと考えています。とはいえ、正確かつ効率的に誤字脱字チェックを実施するためには、適切なプロンプトが必要になるので、誤字脱字チェック専用のプロンプトと使用例を紹介します。

document ai strategy

【無料配布中】「企業版AIの導入アプローチ」

ChatGPT、Copilot、ExabaseといったAI関連ツールが多くサービス提供される中で、企業におけるAI導入アプローチを俯瞰的に整理しています。どのようなタイプのツールがあり、結局何を使ったら良いのか、シンプルかつ感覚的に、かつ短時間で理解されたい方におすすめです。

目次

誤字脱字チェックの方法

誤字脱字チェックをしようと思った場合には多くの方法があります。現在に至るまで人間による確認が一般的な方法として定着していますが、専用ツールも販売されています。今回は人間による確認、専用ツールによる確認、ChatGPTによる確認の3つの方法で誤字脱字チェックを整理してみます。

文章に責任を持つという意味では、現実的にはどれかに偏るということではなく、ChatGPTやツールで簡易的なチェックを済ませ、最終的に人間が確認するということになると思います。

人間による確認

人間による確認をさらに分解すると、自分で読む、他人に読んでもらう方法があります。人間による確認は文章の自然な流れや文脈の確認には非常に有効です。自分で読み直すことで明らかなミスに気づきやすく、他人に見てもらうことで自分では見落としていた細かな誤りを発見できます。ただし当然ながら、時間と手間がかかることが課題となります。また人間なので、その時々の集中により品質に影響が出ます。

専用ツールによる確認

文賢JustRight!7 Proなどの専用ツールも誤字脱字チェックには非常に有効です。これらのツールは文法チェックだけでなく、スタイルの一貫性やプランの提案も行ってくれます。ツールとしての知名度もあるので、利用していることを公表することで、ライターとしての信頼性が向上することもあります。ただし、場合によっては有料プランが必要になることがあります(参考:文賢は1アカウント2,000円程度)。

ChatGPTによる確認

ChatGPTとはOpenAIが2022年11月に公開した人工知能チャットボットです。人間と対話しているかのように質問した内容に柔軟に回答する対話型のAIサービスです。ChatGPTは非常にシンプルな入力画面で、文章を入力するだけで誤字脱字や文法のミスを指摘してくれますが、お願いの仕方を工夫することでより正確かつ、効率的な誤字脱字チェックが可能です。こちらは無料で利用することができ、誤字脱字以外にも活用することができます。

誤字脱字チェックで押さえたいポイント

誤字脱字チェックと一言でいっても指し示す範囲はマチマチかと思います。狭義にはの誤字脱字チェックという意味ではスペルミスなどの「文章の誤り」を指すでしょう。今回はビジネスパーソンとしてより高い品質を担保した文章を書くことを前提としているので、「文章の一貫性」「文章のやさしさ」「文章の正確さ」も含めます。

文章の誤りスペルミスや文法の誤りがないこと
文章の一貫性文章全体の表記とスタイルが揺れなく一貫していること
文章のやさしさわかりにくい文章構成や回りくどい表現が回避されていること
文章の正確さ事実関係の確認が済んでおり、正確であること

文章の誤り

最もシンプルな誤字脱字であり、スペルミスや文法の誤りを指します。特に日本語では同じ音でも異なる漢字を使うことがあります。正確な表記とすることで誤った理解につながることを回避します。たとえば、「期限」という誤ったスペルを「起源」に修正することで、正しい文章を作成することができます。

文章の一貫性

よりプロフェッショナルな文章を作成するには、文章全体の表現(表記揺れの回避)とスタイルを統一し、一貫性を持たせることが重要です。これにより読み手にとってよりわかりやすい文章を作成することができます。例えば、「openai」と「OpenAI」のような表記揺れがある場合、統一することが好ましいです。

文章のやさしさ

文章の流れが悪かったり、回りくどい表現が使われることはよくあります。文章の構成や助詞(てにをは)などを改善することで、読者にとって理解しやすく、スムーズに読める、とてもやさしい文章を作成することができます。例えば、「彼は素晴らしい選手です」という文が「彼は優れた選手です」となることで、文脈に合った自然な表現に仕上がります。

文章の正確さ

ファクトチェックも重要なポイントです。事実関係が正しいかどうかを確認するために、情報源の信頼性を確認することが求められます。これにより、誤った情報を含まない正確な文章を提供することができます。例えば、「世界で最も高い山はエベレストである」という情報を確認することで、正確なファクトを含む文章を作成することができます。

ChatGPTに誤字脱字チェックさせるプロンプト

ここまでご説明してきた観点を踏まえ、誤字脱字チェックを実際に進めていこうと思います。とはいえ、ツールによる誤字脱字チェックは完全ではなく、文章に正解はないため、最終的には人間が最終品質チェックを行うことが重要であると考えています。このため、ChatGPTを用いて誤字脱字を指摘し、修正する作業を2段階に分けて進めます。

STEP
誤字脱字箇所の抽出

4つの観点で修正事項を洗い出します

STEP
修正対象の反映

洗い出した修正事項の中から、反映したい事項を選びます

ステップ1:誤字脱字箇所の抽出

今回利用するプロンプトを紹介します。

#依頼事項
・「誤字脱字」の定義は次を参考にしてください。
・「誤字脱字」の該当箇所を抽出して、表形式で出力してください。

#誤字脱字の観点
・スペルミスがある。
・文法に誤りがある。
・文脈に合わない表現である。
・文章全体の中で表記揺れがある。
・文章が流れず、読みづらい。
・スタイルが統一されていない。
・ファクトに誤りがある可能性がある。

#出力
・表形式で出力してください。
・横軸に「番号」「該当箇所」「修正案」「修正した事項」を取ってください・

#禁止事項
・回答時に入力文を全文出力してはいけません。
・「修正案」を反映するかどうかはこちらで判断するので、勝手に本文を修正しないでください。

#入力

#依頼事項にはおおまかな指示を記載し、要件はその下に記述するスタイルにしています。#誤字脱字の観点はご紹介したい4つの観点をブレイクダウンしたものを箇条書きにしています。

この後のステップで反映する対象を選定したいので、番号とともに修正箇所を表形式で整理してもらうことにしています。この時に、「該当箇所(Before)」、「修正案(After)」は当然ながら、これだけだと直感的に差分を把握することができないので「修正したい事項」についても明示してもらうようにしています。

最後に#禁止事項も添えています。こちらを加えずに指示をすると勝手に本文も合わせて出力されることがあり、本文が長い場合に、かなりのタイムロスになります。また、反映は次のステップで指示するので、ここでは反映しないよう伝えています。

ステップ2:反映

指摘された内容を反映するかどうかを判断し、最終的に文章を仕上げます。

ありがとうございます。

#依頼事項
・次の指示を読み込んで、全文出力してください。

#修正案の中で反映する番号
・xxxxx

#修正案の中で反映してはいけない番号
・xxxxx

#その他修正依頼事項
・xxxxx

まず、#修正案の中で反映する番号と#修正案の中で反映する番号をそれぞれ明示しています。前者だけで伝わるケースもあるのですが、指示を読み誤るケースもあるので、念の為、いずれの条件も明示しています。

#その他修正依頼事項では、「xxxxの部分はxxxという表現を使って欲しい」など具体的に直していく場合には加えてあげると良いと思います。

h2:ChatGPTによる誤字脱字修正(実践)

今回は資格試験のテスト問題作成サービスを展開するラクテスさんの作成した校正者採用のためのスキルチェックテストサンプル2 誤字脱字・用語の誤用に関するテストから2問ほどお借りして実践してみようと思います。

ケース①小説

例題ではぱっと見で「小子化」や「ゆめゆめ」が気になります。

小子化の進む中、あえて学習塾を起業してはや5年。授業料は高いが、それに違わない高品質の個別指導を売り物にしたのだが、これほど流行るとはゆめゆめ思わなかった。妻も心配してくれていたから、きょうは慰労の旅行に来ている。海を望むレストランで、先ほどディナーをしたところだ。バルコニーで満天の星を見上げながら、ふと笑みがこぼれる。

まずは先ほどの誤字脱字抽出プロンプトを入力してみます。

あなたはプロの校閲担当者です。次の文章の誤字脱字をチェックしてください。

#依頼事項
・「誤字脱字」の定義は次を参考にしてください。
・「誤字脱字」の該当箇所を抽出して、表形式で出力してください。

#誤字脱字の観点
・スペルミスがある。
・文法に誤りがある。
・文脈に合わない表現である。
・文章全体の中で表記揺れがある。
・文章が流れず、読みづらい。
・スタイルが統一されていない。
・ファクトに誤りがある可能性がある。

#出力
・表形式で出力してください。
・横軸に「番号」「該当箇所」「修正案」「修正した事項」を取ってください・

#禁止事項
・回答時に入力文を全文出力してはいけません。
・「修正案」を反映するかどうかはこちらで判断するので、勝手に本文を修正しないでください。

#入力

小子化の進む中、あえて学習塾を起業してはや5年。授業料は高いが、それに違わない高品質の個別指導を売り物にしたのだが、これほど流行るとはゆめゆめ思わなかった。妻も心配してくれていたから、きょうは慰労の旅行に来ている。海を望むレストランで、先ほどディナーをしたところだ。バルコニーで満天の星を見上げながら、ふと笑みがこぼれる。

すると抽出した結果を受け取ることができました。怪しいところを含め、広めに抽出してくれている印象を受けます。

指摘事項1

今回反映したい対象を指定します。

ありがとうございます。

#依頼事項
・次の指示を読み込んで、全文出力してください。

#修正案の中で反映する番号
・1,2,3,

#修正案の中で反映してはいけない番号
・4,5

するとこちらが指定した抽出箇所のみ誤字が反映されて全文が出力されました。

最終結果1

ケース②ビジネス文章

別のケースでもやってみます。今回はプロンプトは省略します。

我が国では、持続的・発展的な経済社会活動のために、平成3年の再生資源利用促進法の施行以来、リサイクル関連法を整備してきました。そのなかで、いわゆる3Rが歌われています。

3Rとは、リメイク(Remake)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つのRのことです。リメイクはマイバッグを持っていきレジ袋はもらわないこと、リユースは調理の際に生ごみをできるだけ少なくするよう心がけること、リサイクルはごみの分別収集を徹底することなど、日常の行動で実戦することができます。

回答結果です。

指摘事項2

#3以外を反映してもらいました。

最終結果2

最後に

文章の誤字脱字チェックをする際に専用ツールを使う選択肢もありますが、ChatGPTを使ってプロンプトを工夫するというやり方もあります。今回の提案したプロンプトは抽出と反映を別ステップに分けることで、よりタスク実行をスムーズにする工夫をしているので是非使ってみていただきたいです。

注意点として挙げられるのは、AIは完全ではないということです。今回のプロンプトを使っても細かいニュアンスの使い分けをすることは難しく、見逃しが発生することもあります。その場合には、抽出をループさせることで完成度を高めることができます。プロンプトは使いながら改善を重ねることが重要ですので、PDCAを意識した利用が求められます。

シェアをお願いします!

執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

目次