楽天とOpenAIの協業:AI活用の取り組みと今後の展望

OpenAIのプレスリリースにおいて、楽天との取り組みが紹介されています。楽天は、OpenAIの先進的なAI技術を活用することで、ショッピング体験、顧客サービス、BtoBコンサルティングの分野で大きな革新を遂げようとしています。

目次

楽天とOpenAIの協業

楽天とOpenAIは、AIを活用して楽天のショッピング体験、顧客サービス、BtoBコンサルティングの改善を進めています。楽天は、70以上のオンラインサービスを提供し、世界中で18億人以上の会員を抱えています。この膨大なデータを活用することで、顧客にさらなる価値を提供することを目指しています。

楽天は、OpenAIのAPIをいち早く導入し、GPT-3.5を活用してチャットボットを開発しました。成果の一例をご紹介すると・・・

  • OpenAIのAPIを使用することでカスタマーサービスに対し即時応答が可能になり、効率が大幅に向上。
  • ECでユーザーレビューの要約機能を開発し、ユーザーが重要な情報に早期にアクセスできるように。
  • B2toBビジネスにおいても、楽天のコンサルタントが市場分析や販売動向などの実用的な分析について情報提供し、企業のパフォーマンス向上に貢献。

楽天は、これらの取り組みにおいてプライバシーとセキュリティを最も優先しており、最高水準のセキュリティガードレールを設置し、ユーザーとクライアントを保護することに努めています。

今後の展望

楽天はOpenAIのAPIを活用し、リアルタイム音声および視覚機能の導入を計画しています。例えば、音声形式で記録された社内会議データからアクションアイテムや電子メール送信、多言語翻訳を作成することを想定しています。楽天は会話型AIエクスペリエンスをエコシステムに組み込むことで、さらに豊富なデータを取得し、それを元により優れたサービスを提供することを目指しています。

楽天の加地裕介氏は、「クリックとインプレッションは、ユーザーの好みの代理にすぎません。LLMをユーザーエクスペリエンスにさらに統合することで、会話入力を通じてユーザーの問題点や好みを直接理解できるようになり、より良いサービスを提供できます。」と述べています。

「楽天とOpenAI協業」について一言

楽天経済圏は楽天市場、楽天Pay、楽天トラベル、楽天モバイルなど多岐にわたるため、AIを活用可能な領域はかなり広く、ユーザーとの接点がより最適化されれば、より強固な基盤となるでしょう。

個人的に気になった部分としては「今後の展望」についてです。ウェブ上の動きは現状クリックやスクロールといった2次元の情報が中心ですが、音声や目線の動きといった情報を統合することができればより効果的な体験設計ができる、というのはその通りだと思いますし、そこにはウェブマーケティングの未来があるように思います。

出所:Rakuten Pairs Data with AI to Unlock Customer Insights and Value

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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