GPT-4o mini: コスト効率の高い次世代小型モデル登場

OpenAIは、AI技術を可能な限り広く普及させるために、最新の小型モデル「GPT-4o mini」を発表しました。この革新的なモデルは、低コストながら高い性能を実現し、APIを介して活用することで、アプリケーションにおけるAIの活用を後押しすることが期待されています。

目次

GPT-4o miniの概要

OpenAIは、最新の小型AIモデル「GPT-4o mini」をリリースしました。GPT-4o miniは、コスト効率に優れ、多様なアプリケーションでの利用を可能にします。このモデルはMMLUなどのいくつかのベンチマークで類似の小型モデルを上回るパフォーマンスを記録しています。

また、GPT-4o miniは、従来のフロンティアモデルであったGPT-3.5 Turboに比べて価格が大幅に抑えられており、より多くの開発者が手軽に利用できるようになりました。

GPT-4o miniのパフォーマンス

GPT-4o miniは、さまざまな分野で優れたパフォーマンスを発揮しています。特に、テキスト処理とマルチモーダル推論(テキスト、画像など複数の媒体を組み合わせて推論を行うこと)において他のモデルと比較して優位性を持ちます。

GPT-4o miniは、MMLU(Multi-Task Language Understanding)で82.0%のスコアを獲得し、Gemini Flashの77.9%やClaude Haikuの73.8%を上回っています。

数学的推論では、MGSMで87.0%、HumanEvalで87.2%のスコアを記録し、Gemini Flashの75.5%やClaude Haikuの71.7%や75.9%を超える結果を示しました。

マルチモーダル推論においても、MMMUで59.4%のスコアを示し、Gemini Flashの56.1%やClaude Haikuの50.2%を大きく引き離しています。

評価ベンチマーク

GPT-4o miniの価格

GPT-4o miniの価格は非常に手頃で、入力トークン100万あたり0.15ドル、出力トークン100万あたり0.60ドルとなっています。これは、従来のフロンティアモデルよりも1桁安く、GPT-3.5 Turboよりも60%以上安価です。

比較対象となるGemini Flashの価格は、入力トークン100万あたり0.35ドル、出力トークン100万あたり1.05ドルであり、GPT-4o miniはより経済的な選択肢です。この価格設定により、多くの開発者が高性能なAIを利用しやすくなり、AI技術の普及が加速することが期待されます。

スクロールできます
名称入力(ドル)出力(ドル)
GPT-4o mini0.150.6
Gemini Flash0.351.05
モデルの価格比較

GPT-4o miniの安全対策

安全性はGPT-4o miniの開発プロセスの中心に位置しています。事前トレーニングでは、ヘイトスピーチや成人向けコンテンツ、個人情報を主に集約するサイト、スパムなどの不適切な情報をフィルタリングし、事後トレーニングでは人間のフィードバックを使用した強化学習(RLHF)を採用しています。

70人以上の外部専門家がGPT-4oをテストし、潜在的なリスクを特定しました。これにより、GPT-4oとGPT-4o miniの安全性を向上させるための対策が講じられています。

GPT-4o miniを使うには

GPT-4o miniは現在、Assistants API、Chat Completions API、Batch APIでテキストとビジョンモデルに対応しています。開発者は、入力トークン100万あたり0.15ドル、出力トークン100万あたり0.60ドル(標準の本の約2500ページに相当)を支払うことでAPIを介した利用が可能です。

また、ChatGPTの無料プラン、プラスプラン、チームプランのユーザーはすでにGPT-3.5の代わりにGPT-4o miniを利用できるようになり、エンタープライズユーザーもアクセス可能な状況です。

「GPT-4o mini」について一言

大規模言語モデルの価格破壊が起きています。APIを介して大規模言語モデルを活用する場合の懸念点としては、価格モデルが従量課金であることから、ユーザーが大量に入力、出力を行うことで想定以上のコストがかかってしまうことでした。

もちろんユーザーにも従量課金のモデルを提示することもできますし、そうしている事業者も多く存在しますが、固定型と比較するとユーザーの評価が厳しくなるという側面もあり、悩ましいポイントでした。

すでに登場しているGemini FlashやGPT-4o miniはその破壊的に低水準の価格設定によってこの課題を解決しつつあります。ここまで大規模言語モデル利用のハードルが下がると、AIの普及はさらに加速するでしょう。

出典:GPT-4o mini: advancing cost-efficient intelligence(OpenAI)

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、総合化学メーカーを経てデロイトトーマツコンサルティングに在籍。新規事業立ち上げ、M&A、経営管理、業務改善などのプロジェクトに関与。マーケティング企業を経て、株式会社ProFabを設立。ProFabでは経営コンサルティングと生成導入支援事業を運営。

TechTechでは、技術、ビジネス、サービス、規制に関する最新ニュースと、各種ツールの実務的な活用方法について、初心者でも理解できる明瞭な発信を心掛ける。日本ディープラーニング協会の実施するG検定資格を保有。

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